時代は変わる--強くて元気なホラー映画の女性たち

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著:Beth Youngerドレイク大学 Associate Professor of English & Women’s and Gender Studies)

 第70回カンヌ国際映画祭の授賞式後、審査員を務めた女優ジェシカ・チャステインは、映画祭で上映された作品の女性像は「実に気分の悪い」ものだったと語った

 多くの女性にとって、これは斬新な意見ではない。カメラの前でも後ろでも女性が不足していることは、近年のハリウッド批判の中心となっている。女性の役が少ないことやステレオタイプの役にキャスティングされる傾向があることを研究者やライターは詳述している。

 南カリフォルニア大学でコミュニケーション学を教えるステイシー・スミス教授は、映画とテレビにおけるジェンダーと人種の描写を研究している。教授によると、2006年から2011年にかけて公開され最高興行収入を記録した映画129作の登場人物5,839人のうち、少女や女性の割合は30パーセントに満たないという。また、作中に2人以上の女性が登場し、男性の話題以外の会話をするかを問うベクデル・テストの基準を満たしている映画はたった50パーセントだ。

 映画における女性の状況は厳しいが、絶望的というわけではない。女性がますます重要な役割を果たしているジャンルに、ホラーがある。そう、叫び声は今も昔も恐怖映画に欠かせない要素だ。しかし、女性たちは今、作品の中核を担っている。犠牲者ではなく、モンスターやヒーローとして。

◆トレンドに逆らって
 女優ジーナ・デイヴィスが設立したメディアにおけるジェンダー表現を研究する非営利団体Geena Davis Institute on Gender and Media(以下“ジーナ・デイヴィス研究所”)は、映画におけるジェンダーの不均衡が女性や少女たちにどのような影響を及ぼしているかを示す研究結果を毎年発表している。

 例を挙げると、映画における女性のポジティブかつ重要な役は、仕事でもプライベートでも「世の女性をより意欲的にする」ことがわかった。しかし、ポジティブに描かれる女性が少ないと、逆の効果を生み、悪影響をもたらした

 最近、ジーナ・デイヴィス研究所とGoogleが行った研究では、この現象をさまざまなジャンルで調査した。ジェンダー、登場時間、発言時間といった一般の観客が見逃しがちなパターンを認識するため、機械学習技術を利用した「GD-IQ」(Geena Davis Inclusion Quotient:ジーナ・デイヴィス包括指数)なるものを開発して行われたこの研究の結果は、わかりきったものだった。――映画では、男性は女性の2倍登場し、発言する。

 しかし、ひとつ例外があった。ホラー映画だ。

Text by The Conversation