『うんこ漢字ドリル』は親が助かる? 海外は合理的な見方 「kanjiは大変だから」

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『うんこ漢字ドリル』が国内で話題だ。一風変わった漢字練習帳で、すべての例文に「うんこ」が登場する。ユニークな着想が国内で評判の同シリーズだが、その独特のユーモアは海外でどう受け止められているのだろうか?

◆親にも好評
 海外では非常に好意的に報じられている。各紙に共通するのは、単に子供が喜ぶだけでなく、「子の学習意欲が高まることで親の負担が減る」という合理的な視点だ。

 ガーディアン紙は、「何百もの漢字を書かせて覚えさせるのは(親にとって)割に合わない」とする。魅力的なドリルによって、子が自発的に勉強し、無理やり勉強させる必要がなくなるという論旨だ。

 アメリカのニュースサイト『クオーツ』もネット上の声を引用し、親が喜んでいると伝える。「台風でものすごい数のうんこがとんできた」など、ユニークな例文が子供に受けているとの見方だ。

 香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙は、実際に親から喜びの声をよく聞くという成城の書店員の声を載せている。見方によってはやや下品ともいえる漢字ドリルだが、高級住宅街で知られる成城でも売れているようだ。

 一方の日本では、排泄物を面白おかしく使う例文は学習に望ましくない、という意見もある。アマゾンのレビューでは、おおむね3割ほどが否定派のようだ。倫理観重視の日本に対して、海外ではポジティブな捉え方が圧倒的だ。

◆kanjiを解き明かす
 海外でも漢字はよく知られており、英語でも「kanji」と言えば伝わる。今回のニュースに絡めて、欧米紙を中心に、漢字の学習プロセスを紹介していた。

 ガーディアン紙は、小・中学校で計2000字以上の漢字を学ぶと伝える。クオーツ誌はやや詳しく、中国から輸入された歴史のほか、音読みと訓読みがあるため学習は複雑で骨が折れるとしている。

『うんこ漢字ドリル』のニュースは、謎に包まれた漢字文化の一端を明かす意味でも、思いがけない一役を買ったようだ。

◆まさに日本的?
 同シリーズのヒットが海外で伝えられる理由の一つとして、まさに日本的なイメージに満ちた面白い出来事だということが挙げられる。日本はトイレに情熱をかける国としても知られており、「うんこ」も繋がりのあるテーマだ。

 サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(6月3日)は「トイレのオリンピック:日本は金メダルの水準。2位の中国を大きく離す?」と題し、洗浄機能付トイレの多機能さを報じている。ビジネスインサイダー誌(6月1日)でも、寄稿者のメリア・ロビンソン氏がサンフランシスコのTOTOショールームを訪れ、多機能さから「トイレ界のベンツ」と評している。こうした背景から、海外の読者の目には、日本らしい話題に映るのだろう。

 各紙、愉快なトピックとしての側面を持たせつつも、親子両方に受け入れられている実用的な教材として報じている。日本らしい話題としてさらに注目が高まる可能性もありそうだ。

Text by 青葉やまと