フランスと日本のランチ文化に共通点? 「社交の場」と「同じ釜の飯」
美食の国として知られるフランスは、実は世界に知られるランチ大国でもある。2011年に実施された調査によると、世界のどの国をも押しのけて「世界で最もランチに使う時間が長い国」と報告されている。53%の人がランチにコースメニューを3品もしくはそれ以上注文し、仕事中でもそれを2時間かけてワインと共に食すことがあるのだとBBCも報道しているほどだ。しかし、我が国日本も実はフランスと肩を並べるほどの素晴らしいランチ文化を持っている。どうやらこの2国の国民は、ランチに対する特殊なメンタリティー持っているようだ。
◆食事とは良い仲間と共有する社交のこと
「フランスでの食とは、社会生活すべての中心に位置するものです。だから皆、食を最大の社交経験と考えるのです」と、BBCのインタビューでフランス国立科学研究センターのクラウド・フィッシャー氏が語るように、フランス人にとって食と社交は切っても切れない関係にあるようだ。
欧州食歴史文化研究所(European Institute for the History and Culture of Food)の研究者、ロイック・ビエナシス氏は、フランスにおける食は「良い仲間たちと共有すること」を重要視している点がユニークであると述べる(ガーディアン紙)。フランスでは80%の人々が他の人々と一緒に食事をとっていることからも、この国のユニークな食に対するマインドセットがうかがえる。
◆世界第4位!日本は職場でのランチ時間が長い国
そんな食を社交であると考えるフランスと日本のランチ文化を比較すると興味深いことが見て取れる。フランスの企業向けサービス会社、Edenredによる世界14ヶ国、2478人を対象に実施されたアンケートによると「30分以上職場でランチをとっている人がいる国」という項目で、日本は62%を記録し、フランス=77%、メキシコ=77%、イタリア=68%に次いで4位にランクインしているのだ。
長時間労働がまん延し、日々皆が忙しく働いている日本の労働環境を考えると、日本がこのような上位に位置しているのは少し意外ではないだろうか。ちなみに、よく働く国として知られるアメリカ=36%、イギリス=27%は、それぞれ14ヶ国中11位と12位を記録した。
◆ことわざからわかる、日本とフランスの意外な共通点
日本が長時間労働国でありながらも職場でランチを長い時間とる人が多い理由は、日本に古くから存在する「同じ釜の飯を食う」ということわざに見つけることができるかもしれない。
生活を共にしたり、同じ職場で働いて、苦楽を分かち合った親しい間柄のたとえとして使われるこのことわざは、日本において食が人との関係を深める上で重要な役割を果たしていることを示している。フランスだけでなく日本でも食と社交は密接に関係しており、忙しい日々の仕事のなかで、私たちに社交の喜びを提供しているのかもしれない。
アメリカやイギリスで「デスクランチ」がまん延し始めている現在、様々な研究から、ランチ休憩はクリエイティビティーや思考力を向上させることがわかっている。今一度、日本の素晴らしいランチ文化に感謝し、その健康的な習慣を守っていきたいものだ。