「0増5減」法案、衆院通過 日本各紙の評価は?
衆院の小選挙区定数を「0増5減」する新区割り法案は、23日、衆院本会議で可決された。自公両党の賛成多数で、民主党は反対、日本維新の会は欠席した。法案が参院で放置された場合も、自公は再議決に踏み切る見通しだ。
本会議前の衆院特別委では、民主・維新両党が審議を拒否し、採決を欠席。民主党は直前に方針を転換し、本会議では出席して反対した。
新区割り法案が成立すれば、一票の格差は最大2.524倍から最大1.998倍になる。
日本各紙(朝日・毎日・産経)は、選挙改革をめぐる一連の混乱と今後の見通しについて論じている。
【野党への批判】
産経新聞は、法案審議の混乱について、民主党など野党を強く批判した。選挙制度の抜本改革と定数削減を切り離すことに反対し、委員会での審議を拒否したことなど、“立法府としての責任を放棄”していると苦言を呈した。伊吹衆院議長により、「0増5減先行、選挙制度改革早期取り組み明記」という打開策が示されたものの、これを野党側が拒否したことにも、同紙は批判的だ。
毎日新聞も、この点については、歩み寄りのチャンスを自ら逃した、と厳しい見方だ。民主党案の意義は認めた上で、それでも「0増5減」法案の先行に徹底反対する同党の姿勢は、“自分たちが抜本改革を主張しているとアピール”する目的ではないか、と疑問を呈している。
さらに各紙は、野党の選挙制度改革案がバラバラな点を指摘。朝日新聞は、各党が妥協してでも与党を議論に巻き込み、期限付きで改革への道筋をつけるべきと提言している。
【与党への批判】
「0増5減」で食い逃げを図り、抜本改革に踏み込まない与党の姿勢に対し、朝日新聞は“許されない”と強く非難している。毎日新聞も同様の姿勢であり、消極的な自民党に対し、3党合意には「抜本改革に必要な法改正を行う」ことが含まれていると釘をさした。
総じて各紙とも、党利党略が絡む選挙制度改革の困難さを指摘した上で、首相の諮問機関である選挙制度審議会に検討を委ねるべきという論調だ。