安倍政権初の党首討論 日本各紙の政治評価も明らかに

 17日、安倍政権発足後初となる党首討論が行われた。民主党の海江田代表、みんなの党の渡辺代表、日本維新の会の石原共同代表が、それぞれ課題を提示し、安倍首相の見解を質した。
 各党の討論の主なポイントは以下の通りである。

【民主党】
・海江田代表は、アベノミクスの副作用(物価上昇)を指摘
→首相は、成長戦略などでこれから雇用・賃金の改善が進むと回答
・首相は、「0増5減」の先行処理に理解を求めた
→海江田代表は、定数削減もやるべきと主張し、拒否

【みんなの党】
・渡辺代表は、2014年4月に消費税を上げるべきではないと主張
→首相は、経済状況の好転が条件であることも踏まえ、総合的な判断をしたいと回答
・渡辺代表は、自民党が野党時代に提案した公務員制度改革の採用を迫った

【日本維新の会】
・石原共同代表は、北朝鮮の脅威を指摘し、国防の観点から憲法改正を迫った。さらに、憲法改正に慎重な公明党を「足手まといになる」と酷評した
→首相は、防衛費増強した実績を強調し、日米同盟強化を進めると回答
・石原共同代表は、TPP交渉参加にあたり、遺伝子組み換え食品への懸念を表明

 日本各紙(朝日・読売・産経)も、各々の問題意識に基づいた切り口で、党首討論の結果を論じている。

 朝日新聞は「一票の格差」めぐる対立に注目し、与野党ともに批判。
 自民党に対しては、改革案は公明党への配慮があからさまだとして、“本気で抜本改革に取り組む姿勢が感じられない”と非難した。一方民主党に対しても、昨秋には「0増5減」の先行処理に同意しながら、今ではかたくなに拒否していることを“無責任”と断じた。同紙は野党に対し、「0増5減」実現協力の代わりに、抜本改革の具体的なスケジュールを示すよう、与党に求めるべきと主張した。

 一方、読売新聞は、民主党を徹底批判。渡辺代表や石原共同代表が、論点ごとに賛否の主張を明確にしたことを挙げ、対して海江田代表は、アベノミクスへの懸念を示すのみで非建設的と評した。また選挙改革に関しても、先行処理を否定し審議を拒否する野党各党を、“党利党略を優先”しているとみて避難している。

 産経新聞も民主党を批判しているが、憲法改正について論じないことを理由としている。同紙は、自民党が96条改正(発議要件の緩和)を打ち出していることを挙げ、憲法改正は7月の参院選の争点だとしている。これについて、維新の会は、安全保障の観点から自民党と認識を共有していると評価。対して民主党は、党内で賛否が分かれ、分裂を避けるために結論を出していないと批判している。

 総じて、現在の政治に対する各紙の姿勢が明らかになったといえる。

Text by NewSphere 編集部