日銀の大胆緩和、海外紙で好評 日本各紙の評価は?

日銀の大胆緩和、海外紙で好評 日本各紙の評価は? 日銀は、黒田東彦総裁が就任してから初めての金融政策決定会合で、「量的・質的金融緩和」の導入を決めた。主な内容は下記の通り。
・2%の物価上昇率目標を「2年程度」で達成
・政策目標を、金利からマネタリーベース(資金供給量)に変更
・資金供給量を約2倍の270兆円に拡大
・長期国債や上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(Jリート)の買い入れ増額
 また、白川方明前総裁が創設した「資産買い入れ等基金」を廃止し、国債購入の仕組みを一本化。あわせて、「銀行券ルール」(日銀保有長期国債残高を銀行券発行残高の範囲内とする)の適用を一時停止するとした。
 日本各紙(朝日・読売・産経)は、「次元の違う」緩和策について、リスクや今後の課題を論じている。

【評価の声】
 まず、読売・産経両紙は大胆な緩和策を歓迎する論調だ。読売新聞は、黒田総裁による新体制発足直後に、デフレから脱却できなかった従来の政策を抜本的に転換する姿勢を示したことを評価。円安・株高という市場の好反応も、評価を後押ししている。
 産経新聞は特に、政策の内容はもちろん、黒田総裁・岩田副総裁が事前に政策を明確に説明していたことに注目した。これまでの日銀トップは、サプライズ効果をねらって、金融政策の手法などを決定前に語ることはなかったが、近年は効果がなかったと指摘。黒田新総裁らの明快な姿勢は、日銀の意図を市場に伝えることに成功したと評価している。

【リスクと今後の課題】
 一方各紙は、日銀の国債購入に“歯止めがなくなり”、財政赤字の穴埋めと疑われることで、国債が暴落する事態を懸念している。特に朝日新聞は、今回の措置が、これまでの制限を一挙に取り払ったことを危惧し、国債の暴落、長期金利の乱高下などが起きてしまった場合にどう対応するか、基本姿勢を示すべきだと求めている。
 さらに各紙は、金融緩和だけでは、景気改善を伴う「良い物価上昇」の実現は難しいと指摘。政府に対し、規制改革や企業の国際競争力強化など、成長戦略の推進を求めている。加えて朝日新聞は、黒田総裁に対し、緩和効果を引き出すためにも、政府や民間の“財政規律の確保や改革への努力”を促す“責任”も果たしてほしい、と求めている。

 総じて、アベノミクス「第一の矢」としての大胆な金融緩和策は評価されているが、実体経済への波及に対しては、政府・民間の役割が重要になるという認識を各紙とも示している。

Text by NewSphere 編集部