維新の会、党大会で「改憲」姿勢明確に 日本各紙の評価の違いは?
日本維新の会は30日、昨年9月の結党から初となる党大会を大阪市内で開いた。憲法改正を前面に掲げた綱領や、規約を決定。参院選の候補者33人も発表した。橋下徹共同代表(大阪市長)は、参院選で自公の過半数阻止を目標に掲げる一方、石原慎太郎共同代表とのネット対談で、改憲勢力(自民、みんな)で3分の2を獲得することも重要と表明した。衆院では自民、維新、みんなの3党は3分の2を大きく上回っているため、参院でも3分の2を確保できれば、憲法改正を発議できる。
日本各紙(朝日・読売・産経)は、改憲姿勢を中心に、維新の会についての評価を論じている。
維新の会の綱領は、憲法に関して、「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正する」としている。朝日新聞によると、当初は「国民の意志と時代の要請に適したものに改正する」だった文面を、石原氏が“持論をもとに書き換えた”という。同紙はこれを、平和憲法の全面否定だと強く非難。改憲論議自体は“否定すべきものではない”としながらも、維新の会の前のめりな姿勢に対しては危機感をあらわにしている。
一方産経新聞は、“国家観を明確にした”と評価し、改憲勢力の核となることを期待している。自民党や旧たちあがれ日本の改憲案には、「国防軍」や「自衛軍」が明記してあることに言及し、維新の会にも“これを踏まえた改正案”を、再度練り直すべきと求めている。
読売新聞の社説は、評価、批判どちらも明確とはいえないが、“憲法改正は、参院選の最も大きな争点の一つになる”と言い切っている点が特徴的だ。
朝日新聞はまた、「維新の会」結党の原点と現状の乖離を批判。地方発の改革や既得権益打破を掲げた党に対する有権者の期待が、右派色の強い改憲案や安倍政権へのエールなどで、戸惑いに変わったのではと予測している。世論調査の結果が、往時の勢いを失っているのも、この「変節」が原因という見方だ。
読売新聞も支持率の低さを指摘し、自民党との違いを明確にできるかどうか、大阪の党と東京の国会議員団の溝を解消して一体感を持てるかどうか、などが重要だとしている。
対して産経新聞は、地域政党にとどまっていた「大阪維新の会」が、石原氏の「太陽の党」と合併したことで、“国政を担う公党としての形を整えつつある”と高く評価している。
総じて、各紙の憲法に対する評価の違いが、維新の会に対する評価に直結しているといえる。