北朝鮮核実験 日本紙はどう報じたか?
北朝鮮は12日、地下核実験を実施した。同国の核実験は2006年、2009年に続き3回目。金正恩体制下では初の実験となる。国営の朝鮮中央通信は、核爆弾の小型軽量化に成功したと報じている。小型化が進めば弾道ミサイルへの搭載が可能になるため、日本や韓国、アメリカの懸念が強まっている。
核実験の強行を受け、各国は北朝鮮を非難する声明を発表した。安保理の緊急会合も開かれ、議長国の韓国が非難声明を発表した。
日本の各紙は、本件を1面で大々的に報じ、社説でも扱っている。それぞれどの論点に注目し、どんな主張を行ったのか。
各紙とも共通して、核実験を強行した北朝鮮に強い非難を表明している。朝日新聞は“地域の平和と安定を乱す暴挙”、産経新聞は“世界の平和と安全への重大な挑戦”、と厳しく断じた。加えて、日本にとっては特に看過できない危険な事態である、との評価もおおむね共通している。北朝鮮は既に、日本を射程におさめた弾道ミサイル・ノドンを大量に保有しているため、これに核兵器を搭載できるようになれば、深刻な脅威にさらされるということだ。さらに、昨年末に北朝鮮が発射実験を行った長距離弾道ミサイルの危険も指摘されている。まだ不可能と見られているものの、今後の技術の進展次第では、アメリカ本土が射程に入る可能性もあるという。
では、日本は、国際社会は、どう対応するべきか。この点に関して各紙の主張は若干異なっている。
朝日新聞は、追加制裁と6者協議の再開、北朝鮮の核兵器に対する情報収集・分析、監視体制強化などを主張した。総じて抽象的かつ慎重な表現にとどめている。ただ、中国に対しては、食糧やエネルギーの援助・貿易を止めるよう求め、踏み込んだ主張を行なっている。
読売新聞は、日本に対し、アメリカと連携し、ミサイル防衛能力など北朝鮮への抑止力を強化するよう主張している。さらに日米韓による危機管理体制構築、日本独自のさらなる追加措置を求めた。また中国に対しては、制裁に及び腰な姿勢が北朝鮮の核実験を招いたと手厳しい。生殺与奪権を握る中国に対し、“核開発断念へ強い圧力をかけるべき”と主張している。アメリカに対しては、核をテコに“経済制裁貴女と現体制の安全の保障”を求める北朝鮮の目論見に乗らず、核放棄への具体的行動をとるまで、制裁を続けるべきと論じた。
産経新聞は3紙の中で最も具体的な提言を行なっている。禁輸制裁などを既に実施している日本に対しては、日本からの自由送金上限額引き下げ(現在300万円)を提案。安保理に対しては、現行制裁の強化、さらには貨物検査の義務化や銀行取引規制なども検討すべきとしている。日本以上に紙幅を割いたのが、中国への提言だ。“北の暴走を許した最大の責任は中国”と断じたうえで、エネルギーなど現行支援の縮小、安保理制裁の履行を求めた。
なお産経新聞のみ、本件に関し、脅威に備えるためとして、集団的自衛権の行使容認を明確にするよう求めている。