11.16衆議院解散、総選挙へ-各紙は争点を挙げた-
衆議院は16日の本会議で解散される。これに先立ち、特例公債法、「0増5減」関連法、議員歳費を2割削減する関連法などが成立した。また、野田首相が党首討論で提起した衆院定数の削減について、自民・公明両党は受け入れを決め、3党の合意書を作成した。衆院選は、12月4日公示、同16日に投開票となる。最高裁が「違憲状態」とした、現行の300小選挙区と定数180の比例代表選で争われる。
日本の主要紙は、野田首相が、民主党の大敗が予想されるにもかかわらず、「政治を前に進める」ため解散を決断したことを評価した。そのうえで、今回の選挙における争点や課題について論じた。
朝日新聞は、選挙制度改革の必要性に大きく紙面を割いた。今回の衆院選が「違憲状態」の区割りで行われるのはやむを得ないが、次からは「正統性の担保された選挙」を実現できるよう、マニフェストへ具体策を盛り込むよう求めている。そのうえで課題となるのは、小選挙区の選挙権の平等をどう担保するかだと指摘した。より本質的な課題として、衆参両院の役割分担を踏まえた抜本的な制度改革にも言及し、選挙制度審議会での議論を踏まえ進めるべきという姿勢だ。
選挙の争点については、民主・自民両党の主張を踏まえ、脱原発や公共事業のあり方になるとみている。項目をただ羅列するのではなく、財源を含めた現実的な政策を示せと主張した。
読売新聞は、主に解散総選挙の意義について論じた。野田首相が民主党内の反対論にひるまず解散に踏み切ったことを、「見識ある重い決断」だとして支持。解散反対論者が主張する「政治空白」は、解散を先送りにするほうが深刻になると主張している。年内に発足することになる新政権が、景気対策を含む予算案・外交の立て直しに取り組むことが必要だとした。
選挙の争点については詳しく語っていない。野田首相が表明したTPP交渉への参加、社会保障と税の一体改革、原発・エネルギー、外交・安全保障政策といった重要な論点に対し、「立場を明確に」と述べるにとどまった。ねじれ国会による「決められない政治」が続いたことを批判的に示しつつ、民主・自民の2大政党主導が続くのか、第3極が台頭するのかに注目している。
産経新聞は、解散総選挙を通じ「国難を克服できる新体制」を実現するべきと主張し、争点を具体的に示した。すなわち、尖閣諸島を中国からいかに守るか、脱デフレの経済政策をどう展開するか、「脱原発」のエネルギー政策でこの国は大丈夫か、そして憲法改正を実現するか、といった点だ。
解散の背景としての「政策停滞」については、民主党の姿勢を厳しく批判。特に解散を避けようとした一部議員の動きを、「国益より党利党略を優先」するものだと非難した。ただ、首相が条件として挙げた選挙制度改革には、少数政党に議席が多く配分される連用制の一部導入が含まれるなど課題もあると指摘。特例公債法案を今後「人質」にしないという合意に至ったように、3党の連携を進め、国民の利益となる政策を実現すべきと主張した。
朝日新聞
衆院、16日解散へ―「異常な選挙」の自覚もて(11月15日)
読売新聞
衆院解散表明 首相の重い決断を支持する(11月15日)
産経新聞
16日解散 国難打破する新体制を 野田首相がやっと決断した(11月15日)
<参考リンク>
「日本を取り戻すための戦い」安倍総裁が会見
(BLOGOS)
「前へ進むか、後ろに戻るのか」野田首相、会見で五つの政策を掲げる
(BLOGOS)