ジョージ・ルーカス、スピルバーグ、ハリソン・フォードの若い頃 戸田奈津子が見てきた素顔

2024年4月5日から始まった、かつての名作が上映される「午前十時の映画祭14」。

【動画】字幕翻訳家の戸田奈津子さんが語る3人の若い頃

開催を記念して、10日に『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の特別先行上映が行われ、映画の字幕翻訳家として知られる、戸田奈津子さんが登場しました。

戸田奈津子が語るハリソン・フォード、ジョージ・ルーカス、スティーヴン・スピルバーグ

日本を代表する字幕翻訳の第一人者である戸田奈津子さんは、これまでに約1,500本以上の映画翻訳を手がけてきました。

またハリウッドスターが来日した際に、指名通訳としても活躍してきた人物です。

戸田さんが字幕翻訳を手がけた映画の1つが、『インディ・ジョーンズ』シリーズ2作目の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』。

2023年には、5作目となる『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』が公開され、「40年後に5作目をやるとは、夢にも思いませんでした」と語りました。

俳優のハリソン・フォードさん、ジョージ・ルーカス監督、さらにスティーヴン・スピルバーグ監督が来日した際には、戸田さんは通訳を担当。

特に、戸田さんが親しくしていたのはハリソンさんだそうです。

彼との最初の出逢いは、『インディ・ジョーンズ』シリーズより前に出演していた作品「スター・ウォーズ」での来日だったとのこと。

当時まだ無名だったハリソンさんは、この「スター・ウォーズ」をきっかけにスター階段をのぼっていくことになりました。

戸田さんは数々の有名俳優の中で、最も飾らず変わらない人だといいます。

本人はスター扱いされることを嫌い、「私は、ストーリー・テラー(物語の語り手)です」と口癖のように今でも言うです。

スピルバーグ監督と戸田さんの最初の出逢いは「E.T.」が最初だったとのこと。

「頭の中でお芝居をしながらセリフを書く」という戸田さんは、「『E.T.』の最後のシーンは、翻訳しながら泣いてましたよ」と当時を振り返っています。

日本で映画「E.T.」が公開された後、戸田さんはテレビ番組の取材に同行し、スピルバーグ監督の自宅を訪れました。

戸田さんを驚かせたのは、スピルバーグ監督が仕事をする事務所にゲーム機しか置かれていなかったこと。

また、スティーブンさんの飼い犬や子役に混じり、本人も一緒に遊ぶ姿を目にした戸田さんは、「こういうハートを持っているから『E.T.』みたいな、優しい映画ができるんだな」と実感したといいます。

一方、ルーカス監督はというと、スピルバーグ監督とは正反対のタイプだと明かしました。

戸田さんは大学を卒業後、翻訳の仕事を探していたもののなかなかチャンスに恵まれず、20年後に初めて映画翻訳を手がけたのが「地獄の黙示録」という映画でした。

同映画の監督の自宅で開かれたパーティに招かれた戸田さんは、ここで初めてルーカス監督と会うことに。

ところが、宴もたけなわになったころ、ルーカス監督がやっとコソコソと現れ、監督と少し会話をした後、帰ってしまったのです。

後に仕事で会うことになりましたが、ルーカス監督は常に伏し目がちで非常にシャイな性格だという印象が強いと明かしました。

戸田さんは、「映画好きだったというのがスタートラインですから、まっとうできたことがとても嬉しい」と述べ、「40年経った映画を皆さんが見に来てくれて嬉しい」と述べています。

「午前十時の映画祭」で選考委員を続けてきた戸田さんは、「昔の映画は良い作品が多く、選りすぐって作品を上映しているため、どれを観ても損はない」と断言し、「今後もぜひ観続けてください」と締めくくりました。

「午前十時の映画祭14」は、グランドシネマサンシャイン池袋で絶賛開催中。

Text by 本間才子