10年間で1.5倍に増加した外国人高齢者 介護保険サービスの不十分な理解などが問題
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、日本在住の外国人高齢者に関する実態調査の結果を公表しました。
日本に住む外国人高齢者が抱える問題
今回の調査は、渋谷区内の包括支援センターや各国の在日大使館など、計8施設で実施。
2022年末時点で、日本に在住する外国人高齢者は約20.9万人とのこと。10年前と比べ、約1.5倍に増加しています。
都道府県別では、大阪府が最も多く、3万8,000人の外国人高齢者が居住しています。
国別に見ると、韓国が58%、中国が12.3%、ブラジルが6.1%となっており、その他に朝鮮、台湾、米国、フィリピンなどがあります。
長期間過酷な労働をしてきた外国人が多く、同年代の日本人と比べて高血圧などの健康問題を抱えている傾向が明らかになったとのこと。
報告書では、地域社会での孤立や関係機関との連携の難しさが、支援を求める声の障壁となっていることが指摘されています。
外国人高齢者が直面している課題には、「言語の問題」「介護保険サービスの理解不足」「選択肢の不足」「病気への誤解」「老後の貯蓄不足」などが挙げられます。
同様に介護サービス提供側も、「コミュニケーションの課題」「情報不足」「行政との連携不足」を課題として挙げています。
また2023年8月、渋谷区内の介護施設で外国人高齢者の受け入れに関わった機関への調査では、過去3年間で受け入れがあったのはわずか7件でした。
これらの受け入れの半数は、日本語が理解できない高齢者であり、施設が翻訳アプリなどを導入して意思の疎通を図っているといいます。
調査では、行政が外国人高齢者の支援や検討に進んでおらず、トラブルや心身の悪化を招く可能性を指摘されています。
少子高齢化が進む日本では、外国人の高齢者に対する共生への働きかけや、コミュニティを基盤としたサポートが求められそうです。