「旅行で訪れるには魅力的だが閉鎖的」 外国人には奇妙に見える日本の社会問題
「日本は『政治』と『官僚』と『メディア(新聞・テレビ)』がスクラムを組んで、国家の変革を頑なに拒み、幸福感を味わえない日本人を量産してきた」。
そんなセンセーショナルな提言をしているのが、「外国人には奇妙にしか見えない 日本人という呪縛~国際化に対応できない特殊国家」(徳間書店刊)という本です。
著者のオーストラリア人ジャーナリスト、デニス・ウェストフィールド氏に、外国から見た日本人の実像について聞きました。
「外国人には奇妙にしか見えない 日本人という呪縛~国際化に対応できない特殊国家」
「日本は外国人が旅行で訪れるには魅力的な国ですが、長く滞在していると、閉鎖的で呪縛に苛まれている側面があることに気付きます」とウェストフィールド氏は話します。
「東京の街は清潔で、観光スポットが沢山ありますが、東京に住んでいる人は、その楽しみを享受していません。第三世界の発展途上国の観光地のようで、とうとう東京もそうなってしまったのかと感じています」
この30年間、日本では物価が高騰しているにも関わらず、最低賃金はそれほど上がっていません。
「本来なら最低賃金を上げ、個人消費を活発にし、企業が利益を上げられるよう経済を循環させていくべきです。
しかし、政府は企業側に忖度し、実行に移しませんでした。
不思議なことに市民もそれを受け入れています。自分たちには自由があることを知らないからです」
東日本大震災などの甚大な災害が発生しても、整然と行動する日本人の振る舞いは海外から賞賛されていますが、ウェストフィールド氏は違う見方をしています。
「一見、美徳に見えますが、自由や尊重されるべき人権を持っていることに、日本人は気づいていません。
2023年、フランスで年金の支給年齢を引き上げる法案が発表されると、大規模なデモが各地で起きました。
日本でも年金改革は何度も行われていますが、このようなデモは起きたことがありません。自分たちでは制度を変えられないと諦め、暗黙のうちに制度に従っているのです」
そうした日本の現状を変えるには「選挙」がキーになると、ウェストフィールド氏。
オーストラリアでは、正当な理由なく投票に行かないと罰金を取られる「義務投票制」があり、「優先順位記載方式」という候補者に順位をつける投票方法で、有権者全全員の意思を反映しています。
「日本でもこうした選挙制度にすれば、政治家自身も必ず国民を見るようになります」
その他、英語教育、農産物輸出、少子高齢化など日本が抱える様々な課題について言及している本著。
全編通して読むことで、新たな視点で日本を見ることができそうです。
書籍情報
書名:外国人には奇妙にしか見えない 日本人という呪縛~国際化に対応できない特殊国家
著者:デニス・ウェストフィールド
翻訳:西原哲也
価格:1,870円(税込)
仕様:四六判ソフトカバー 312ページ
発行:徳間書店