訪日外国人に強気な価格を設定する日本 神戸ー関空ベイ・シャトルでは日本人と「逆転現象」

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円安が進行し外国人観光客が増加する現在、観光地ではインバウンド向けの価格設定が問題視されることがあります。

実際、訪日外国人客を主なターゲットとし、日本人客が手を出しにくいような高めの価格設定をする店があるのです。

例えば豊洲の千客万来という施設では、一杯6,980円の海鮮丼が「インバウン丼」と揶揄され話題になりました。

日本人観光客は高くて訪日外国人には安いベイシャトル運賃

日本人にとって高すぎて手が出ない値段でも、円安のせいで訪日観光客は「安い」と感じるようです。

ところがこれとは逆のケースとして、神戸空港と関西国際空港を結ぶ高速船航路「神戸ー関空ベイ・シャトル」の価格設定がSNSで「なぜ?」「逆では?」と話題になっています。

片道運賃が大人1,880円、子供940円に対して、2024年3月31日まで訪日観光客向けは500円という国内居住者の子供運賃より安い価格なのです。

この価格設定の理由について、ベイ・シャトルを運営する株式会社こうべ未来都市機構海上アクセス事業部に問い合わせてみたところ、「インバウンド旅行者向け運賃は、外国人旅行者のベイ・シャトルへの誘客数を増加させる狙いで設定しております」との回答がきました。

神戸観光局の2024年1月のレポートによれば、神戸市全体延べ宿泊者数はコロナ禍前と同水準まで回復しました。

ですが宿泊者数のうち、インバウンドのシェアに着目すると、コロナ前は約13%を占めていたインバウンドは、 2023年では約10%前後と落ち込んでいます。

また延べ宿泊者の推移を見ると、全国的にはコロナ禍前を超えて回復していますが、神戸市はコロナ前比で約75%(2023年10月時点。コロナ前比較:2019.1~2019.12をベースに同月比較)と、コロナ前の水準まで回復していないのです。

この価格設定はもともと、コロナ禍前から外国人観光客の増やす目的で打ち出した施策でした、

コロナ禍で客足が落ち込んだあと、再び訪日外国人のベイ・シャトルへの利用を促進し、神戸市全体の観光産業に貢献することが期待されます。

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Text by 千草ルシア