中国版TikTok「抖音(Douyin)」 高齢者も使いこなすネットショッピングのプラットフォームに
今やX(旧:Twitter)やInstagramと並んで、主要なSNSとなっているTikTok。
しかし、その中国版である抖音(Douyin)は日本であまり知られていません。
抖音は2016年9月に中国のバイトダンス社からリリースされ、その海外版として2017年5月にTikTokがリリースされました。
抖音最大の特徴は、抖音Eコマースによってネットショッピングの一大プラットフォームとなっている点です。
中国版TikTok「抖音(Douyin)」はネットショッピングをするSNSに
中国メディアの上海证券报によると、抖音における2023年のGMV(流通取引総額)は前年比277%の急成長を遂げています。
さらに、GMVが日本円にして200万円を超える売り手が60万以上のユーザーに上るといいます。
ファッションやトレンドの印象が強いTikTokに対して、抖音では生活用品や電化製品、食品まで幅広い商品を扱っています。
特に食品の販売に関しては地方活性化の役割も果しており、抖音Eコマースが『2023年度収穫祭 抖音Eコマースによる農家応援データ報告』を発表したと中国メディアの中国新闻网が報じました。
報告によると、2022年9月から2023年9月にかけて抖音Eコマースによる農産品の経済効果は47.3億元、日本円にして946億円になります。
さらに抖音では商品の宣伝投稿が盛んに行われており、同報告によると農産物に関してはライブ配信が3778万時間、ショートムービーが2186万本投稿されました。
農産物の主な購買層は30代で、全体の38%を占めています。
若者の印象が強いネットショッピングですが、中国における抖音Eコマースの利用者層は老若男女に広がっており、特に近年では「银发群体(銀髪グループ)」と呼ばれるシニア層の利用が注目されています。
中国メディア腾讯新闻によると、2021年11月時点で50年代〜70年代が最も利用する3つのアプリに抖音が選ばれています。
同メディアのインタビューでは、シニア層ユーザーが生活用品からホビー用品に至るまで多種多様な商品を抖音Eコマースで日常的に購入している様子が分かります。
このようなシニア層のネットショッピングが、中国経済における新たなマーケットとして発展していくと予想されています。
TikTokを使いこなすお年寄りのイメージは、日本ではまだまだ違和感があるでしょう。
もしTikTokにEコマースが登場したら私たちの生活にも大きな変化が起きるかもしれません。今後のバイトダンス社の動きから目が離せませんね。