末期の腎臓病患者にブタの腎臓を移植 世界初の手術が成功

ASSOCIATED PRESS

アメリカ・マサチューセッツ州にあるマサチューセッツ総合病院は2024年3月21日、末期の腎臓病を患うリチャード・リック・スレイマンさん(62)に対し、世界で初めてブタの腎臓移植に成功したことを発表しました。

ブタの腎臓を人間に移植する手術が成功

同病院によると外科医らは16日、4時間にわたる手術を実施。

リチャードさんの術後の経過は良く、間もなく退院する予定だということです。

今回執刀した医師は、腎移植を専門とするレオナルド・V・リエラ医師のほか、日本人のカワイタツオ医師などが含まれています。

彼らは「この手術の成功に尽力してくれた素晴らしいスタッフと、勇敢で勇気のある患者にとても感謝しています」と述べました。

またカワイ医師はこの偉業を「光栄」と称えるとともに、「移植アプローチが腎不全に苦しむ世界中の何百万もの人たちの希望になれば」と語っています。

リチャードさんは長年、2型糖尿病と高血圧を患っており、2018年に初めて人間から腎臓移植を受けました。

しかし2023年から腎不全の兆候が現れたため透析を開始するも、今度は合併症を引き起こしついに末期と診断されたそうです。

彼は声明のなかで「自分のためだけでなく、生き残るために移植を必要とする多くの人々に希望を与える方法だと考えたのです」と、移植を決意した経緯を明かしています。

また連合臓器共有ネットワークによると、同国では現在10万人以上が臓器移植を待っているといいます。

しかしその間にも毎日17人が亡くなっており、なかでも腎臓は移植に必要な最も一般的な臓器であるということです。

Text by 春野 なつ