逆輸入タンドラ、どんな人におすすめ? 買う前に知りたい後悔ポイント

トヨタ自動車

 トヨタは、アメリカで生産したフルサイズピックアップトラック「タンドラ」を日本に導入し、トヨタモビリティ東京を通じて2日に発売した。新制度を活用した“逆輸入”モデルとして、まずは東京で販売を開始し、全国展開は今夏以降を予定している。

 メーカー希望小売価格は1200万円。導入される最上級グレード「1794 Edition」は、アメリカンピックアップらしい圧倒的な存在感と上質な内装を特徴とする。

 ただし、その実態は日本の道路事情や生活環境とは大きく異なる。果たしてタンドラは日本で現実的に使えるのか。どんな人に向き、どんな人が後悔しやすいのかを整理する。

◆全長約6メートルの巨体とV6ツインターボ、日本車とは別物の一台
 タンドラのボディサイズは全長5930mm、全幅2030mm、全高1980mm。一般的な乗用車(全長約4.5m、全幅約1.7m前後)との差は明確で、街中では“別カテゴリ”の存在となる。

 パワートレーンには3.4L V6ツインターボエンジン「i-FORCE」を搭載し、10速ATと組み合わせることで低回転域から力強いトルクを発揮する。ラダーフレーム構造や高剛性プラットフォームを採用し、耐久性や悪路走破性にも優れるなど、本来は北米市場を前提に設計された車だ。

 さらに、アルミと高剛性素材を組み合わせた荷台やパワーテールゲートなど、実用性と機能性を重視した装備も備える。日常の足というより、積載や牽引といった用途で真価を発揮するモデルと言える。

◆日本で乗ると直面する現実――後悔しやすいポイント
 一方で、日本で使う場合には現実的なハードルも多い。まず問題となるのが駐車環境だ。全幅2メートル超のボディは立体駐車場にはほぼ対応せず、平面駐車場でもサイズ制限に引っかかるケースがある。コインパーキングでも枠に収まらない可能性があり、都市部では「停める場所がない」という状況が現実的に起こり得る。

 さらに、日本特有の狭い道路事情も無視できない。住宅街でのすれ違いや、商業施設の出入りでは大きな気遣いが必要になる。交差点での右左折や細い道での取り回しも、日本車とは感覚が大きく異なる。

 加えて見逃せないのが、左ハンドル仕様である点だ。料金所や駐車場の発券機、ドライブスルーなど、日本のインフラは右ハンドルを前提としている場面が多く、日常的に不便を感じる可能性がある。

 維持面でもハードルはある。大型車ゆえに燃費は控えめで、タイヤなどの消耗品も高額になりやすい。輸入車であることから、部品供給やメンテナンスに時間がかかる可能性もある。こうした制限を許容できない場合、購入後に後悔する可能性が高いだろう。

◆それでもおすすめできる人
 一方で、この車が強く刺さるユーザーもいる。まず、アウトドアやマリンレジャーを本格的に楽しむ人だ。広い荷台に加え、ボートやジェットスキー、キャンピングトレーラーなどを牽引できる性能は大きな魅力で、一般的なSUVでは対応しきれない用途に応える(※牽引する物の重量によっては牽引免許が必要)。

 また、「人と違う車」に価値を感じる人にも向く。日本ではほとんど見かけないサイズと、本場仕様の左ハンドルを含めたアメリカンな使い勝手と佇まいは、それ自体が強い個性となる。

 加えて、郊外や地方に住み、広い駐車スペースや余裕のある道路環境を確保できる人であれば、そのポテンシャルを十分に引き出せる。

 タンドラは、日本の合理的な車選びとは一線を画す存在だ。購入前には、自宅やよく行く施設の駐車場に十分な余裕があるか、そして左ハンドルの操作に違和感がないかを実車で確認しておきたい。

Text by 白石千尋