トヨタ・ハイランダーが“大転身” 米誌「脇役がモヒカンで帰ってきた」

トヨタ自動車

 グランドハイランダーとRAV4に挟まれ、存在感が薄かったトヨタ・ハイランダーが2027年モデルからBEV(バッテリー電気自動車)として登場した。グリルレスの大胆な外観へと生まれ変わり、アメリカで販売されるトヨタ車として初のV2L機能も搭載。米メディアは「無難だった子供がモヒカン頭で帰宅した」と評し、その劇的な変貌ぶりを伝えている。

◆トヨタの「真ん中の子」が反逆
 「兄弟の真ん中の子供がついに反逆した」。米モーター・トレンド誌はそう表現した。グランドハイランダーとRAV4の狭間で影が薄かったハイランダーが、2027年モデルで大胆な変身を遂げたからだ。

 同誌によれば、その姿は「モヒカン頭と顔中ピアスで帰宅した反抗期の子供」。美しいかどうかは評価が分かれるものの、「間違いなく注目を集める」とする。

 フロントからグリルは消え、今後発売予定の電気自動車「bZ Woodland」と共通するクリーンな顔つきに刷新。薄型テールライトは車体後部を横一文字に貫き、ボディサイドはランドクルーザーを思わせる力強さを備える。リアオーバーハングは短く切り詰められ、従来型の面影はほとんどない。低く長く見せるシルエットに、オプションのツートーン塗装も映える。

 ハイランダーにはBEVモデルが新たに設定された。キアEV9やヒュンダイ・アイオニック9と並ぶ、家族向け3列シートEVとして位置付けられる。エンジン車とハイブリッドを継続するグランドハイランダーと明確に棲み分けることで、充電インフラに不安を抱く層にも選択肢を残した。兄弟で役割を分ける戦略だ。

 バッテリーは約77kWhと約96kWhの2種類が用意され、最大航続距離は約320マイルを目標に開発されている。

◆アメリカ初のV2L搭載
 EV化に伴い、新たな実用性も加わった。新型ハイランダーは、アメリカで販売されるトヨタ車として初めてV2L機能を搭載する。車両から外部機器へ電力を供給できるビークル・トゥ・ロード(Vehicle to Load)で、キャンプ場での家電利用や停電時のバックアップ電源として活用できる。

 米カー&ドライバー誌は、この実用性にも注目。同誌によると、新型ハイランダーはトヨタのEVとして初めてアメリカ国内で組み立てられるモデルとなる。生産はケンタッキー州ジョージタウン工場、バッテリーはノースカロライナ州リバティの新工場から供給される。

 販売開始は2026年後半から2027年初頭の見込み。価格は5万ドル台半ばと予想される。

◆EVファミリーの統一感
 米自動車サイトのエドマンズは、ラインナップの整理が進んだ点を評価する。BEVモデルの設定により、グランドハイランダーとの違いが明確になったという。これまでサイズや価格帯が近く選び分けが難しかった両車だが、今後は方向性がはっきりする。

 カー&ドライバーの読者からはさまざまな声が上がる。

 「トヨタは2023年、タイヤが外れそうなほど出来の悪いEVを作っていた。それが3年後には、内外装ともにしっかりし、競争力あるスペックを最初から備えたモデルを出してきた。悪くない」

 一方で、バッテリー容量に疑問を投げかける声もある。

 「このサイズのSUVで77kWhは少なくないか。ヒュンダイ・アイオニック9は110kWhで335マイル、キアEV9は100kWhで305マイルだ。効率に相当自信があるのだろうか」

 ブランド戦略を評価する意見もある。

 「ハイランダーという名前には大きな価値がある。売れ筋の3列EVにその名を使うのは賢い選択だ。bZ4Xのような新名称よりはるかに分かりやすい」

 EV専用モデルの設定という大胆な判断に、読者の関心は集中している。

 価格への懸念は残るものの、デザインとポジショニングの明確さはおおむね好評だ。モヒカン姿で帰ってきた「真ん中の子」は、もはや脇役ではない。トヨタのEV戦略を占う重要なモデルとなりそうだ。

Text by 青葉やまと