ホンダ・パスポート、米で躍進 過去最速ペースで販売 C&D10ベスト初選出

© 2025 American Honda Motor Co., Inc.

 ホンダ・パスポートが米カー・アンド・ドライバー誌の「10ベスト」に選出された。同車種の10ベスト入りは初めてだ。中型SUVに求められる要素を高い次元でまとめたと称賛されている。2025年1〜11月の累計販売台数は前年同期比73%増と急成長した。

◆10ベスト初受賞の快挙
 米カー&ドライバー誌は、「派手さや速さ、ハードコアな四駆性能では競合に劣るかもしれない」と認めつつも、「バランスの取れた性格の強みで10ベストアワードを獲得した」と講評。「中型SUVに求められることを過不足なく実現している」と称賛し、「時間はかかったが、ホンダはついに長年の難題を解決した」と結んでいる。

 米モータートレンド誌も同車を高く評価し、2026年SUV・オブ・ザ・イヤーのファイナリストに選出した。最新EVを含む30車種以上がひしめく激戦を勝ち抜いた形だ。

 審査員は「オフロードの魅力とオンロードの快適性のブレンド」を称賛。同誌によれば、このバランスの良さは競合車の中でも「驚くほど稀」だという。EVが脚光を浴びる時代にあって、「頑丈なトレイル性能、日常の快適性、堅実な価値をバランス良く取り入れ、ギミックなしで印象を残している」と評価した。記事は「時に、最もシンプルな方程式が人々を魅了する」と締めくくっている。

◆エクステリアからインテリアまで個性的
 カー&ドライバー誌も、パスポートの走行性能を高く評価した。安定感ある乗り心地と重厚感あるステアリングにより、「トラック系ライバルに見られがちな車体の揺れや振動がない」という。トレイルスポーツグレードに装着される全地形対応タイヤを履いても、高速道路での静粛性は損なわれないという。

 モータートレンド誌はユタ州モアブの過酷な砂岩トレイルでテスト走行を実施し、予想を超える走破性を確認した。同誌アソシエイトエディターのビリー・レボック氏は「快適な乗り心地、力強いパワーデリバリー、精密なステアリングを兼ね備え、日常のドライバビリティに優れています。内外装ともに非常に個性的な車です」と絶賛する。デザインの存在感も際立つ。新型は角ばったシルエットに、大胆な黄色のデイタイムランニングライト、そして頑丈なオフロード装備を備えており、アウトドアでも街中でも個性を発揮する。

◆リアシートですら「宮殿のような広さ」
 カー&ドライバー誌はまた、パスポートの室内空間を高く評価している。同誌は、室内幅はフルサイズSUVの代表格シボレー・タホに匹敵すると評価。後席は「大人2〜3人が座っても、まさに宮殿のような広さ」だという。

 収納力も見逃せない。後席後方には機内持ち込みサイズのスーツケースが16個、後席を畳めば38個を積載可能。ジープ・グランドチェロキーを大幅に上回る数字だ。同誌は「しっかりとした走行性能と心地よい操作系はドライバーにやさしく、ビジネスライクな内装は乗客にとってさらに魅力的」と評した。

 販売実績も好調だ。米ホンダによると、2025年11月のパスポート販売台数は4363台を記録し、同月として過去最高を更新した。前年同月比50%増という大幅な伸びだ。2025年1〜11月の累計販売台数は過去最高の5万530台に達し、前年同期比73%増と急成長を遂げている。

 米自動車メディア『ザ・ドライブ』は、パスポートのオーナー同士がすれ違いざまに手を振り合う「パスポート・ウェーブ」が広がっていると紹介した。ジープのような“オーナー文化”が生まれつつあるとして、筆者は「見かけたら手を振ってほしい。きっと相手の一日が良くなる」と呼びかけている。

 個性あるデザインと高い実用性、そして快適な走行性能を併せ持つホンダ パスポートは、アメリカで確かな存在感を放っている。

Text by 青葉やまと