ホンダ「プロローグ」が予想外のヒット、要因は? 米で累計2万5000台突破
3月にアメリカ市場で発売されたホンダの新型電気自動車(EV)「プロローグ」が高い需要を見せている。人気の秘密は、最新のEVを旧来からの物理ボタンで楽しむ趣向だ。古い車種から安心して乗り換えられると、アメリカの既存ホンダオーナーから信頼は厚い。
◆ボルボ2車種、11ヶ月分の販売数を単月で達成
ホンダの新型EV「プロローグ」はアメリカ市場で競合車を大きく上回る販売実績を記録している。販売台数は月を追うごとに増加し、11月には単月で過去最高となる6823台を記録。これにより今年の累計販売台数は2万5000台を突破した。8月には5401台を記録するなど、販売は順調に推移している。
11月の6823台は、ボルボのEVモデル2車種「EX40」と「C40」の今年1月から11月までの累計販売台数4819台を上回る数字だ。また、10月の販売台数において、フォードの「マスタングMach-E」、トヨタの「bZ4X」、日産の「アリア」のいずれも上回った。
◆古くからの物理ボタンで楽しむEV体験
ホンダの新型EV「プロローグ」の人気を支えているのは、同社の既存ユーザーからの信頼感と、ホンダ伝統の使い勝手の良さだ。
米PCマガジンの取材に対し、あるオーナーは「CR-Vを7年間楽しんできた。EVという発想に興味を持ち、試乗してみたところ手応えを感じた。特に複雑なことはなかった」と購入理由を語っている。
操作性では、物理ボタンの採用が高評価を得ている。プロローグを2台所有する別のユーザーは同誌に対し、「エアコンやウインカーなど、よく使う機能には従来通りの物理的なボタンやスイッチが必要だ。操作方法の学び直しを強いられる車は、多くのユーザーが敬遠する。プロローグだとEVへの移行がスムーズだ」と評価している。EVの先進性を、従来通りの操作感で体感できる点が支持されているようだ。
こうしたユーザーの所感は、まさに製品戦略と一致する。米インサイドEVは、特別な目新しさはないが、必要十分な仕様を満たした、実用的で信頼できるEVとの立ち位置を指摘する。
記事は「EVの販売を伸ばす答えは、非常にシンプルかもしれない。十分な航続距離、外観、基本性能を備えた堅実な選択肢を提供すればいい」とし、「目新しい仕掛けは必要なく、単に十分な数の要件を満たし、購入が間違いではないと人々を納得させるだけでいい」と述べている。
◆価格面でも好評
プロローグは、Apple CarPlay、最大296マイル(約476キロ)の航続距離、最大150キロワットのDC充電速度といった、基本的な要件を「過不足なく」満たしているとインサイドEVは指摘する。GMのUltiumプラットフォームを採用し、FFとAWDの2種類で展開。グレードはEX、ツアーリング、エリートの3つを用意する。
米ホンダは月額229ドル(約3万5000円)からのリース・プログラムも展開している。エレクトレックは、価格競争力の高さが販売好調の要因の一つとなっていると分析する。販売価格は4万7400ドル(約723万円)からで、アメリカの連邦税控除7500ドル(約114万円)を適用すると実質3万9900ドル(約608万円)で購入できる。