2000万円超で買ったテスラ車、2年後の下取り価格に驚き… ネットで話題
テスラに愛車の下取り見積もりを依頼したアメリカのユーチューバーが、その価値の低下ぶりにショックを受けたと投稿し、話題になっている。これまでも電気自動車(EV)はガソリン車よりも価値の下落が早いと指摘されてきたが、ここまでの大暴落にはテスラ特有の原因があるとされる。一方、中古EVの価値の下落で、EV普及が急速に進むという見方もある。
◆所有者がっくり……たった2年で大暴落
衝撃の投稿をしたのは、2022年型テスラ・モデルSプラッドを所有するカイル・コナーさんだ。コナーさんは、この車をオプションや諸費用を含め14万940ドル(現在のレートで約2170万円)で購入した。走行距離3万7191マイル(約6万キロ)で下取りの見積もりをテスラに依頼したところ、価格はわずか4万6400ドル(約710万円)だったという。たった2年で、車の価値は9万4540ドル(約1450万円)のマイナスとなり、購入時から67%も下落した。
depreciation pic.twitter.com/3wZ0I9usYK
— Kyle Conner (@itskyleconner) October 27, 2024
自動車関連サイト『ジャロプニク』は、所有した瞬間からその大部分の価値を失う傾向があるのが自動車で、特に高級車、さらにEVの場合は、あっという間に価値が低下するのは当然予想されることだと述べる。ただ、コナーさんが経験したほどの大暴落は誰も予想できなかっただろうとしている。
コナーさんの投稿を取り上げたティックトッカーのクリス・ピアースさんによれば、2022年に販売された同価格のガソリン車と比べても、モデルSプラッドの価値の下落は著しかったという。
◆値下げでセールス維持 テスラの手法に問題あり?
ジャロプニクは、中古のテスラ車の価値が大きく低下している理由の最たるものは、テスラ社が四半期ごとの目標達成のために、セールスを伸ばそうと、車の価格を下げ続けていることだとする。モデルSプラッドの新車価格は現在8万9990ドル(約1380万円)まで下落している。
ジョージ・ワシントン大学のジョン・ヘルヴェストン教授は、値下げに頼るのは、競合他社と同じリズムでラインナップの刷新ができていないせいでもあると指摘している(自動車専門サイト『インサイドEV』)。
ニュースサイト『デイリー・ドット』は、テスラがリース車の買い取りを拒否していることも原因だという意見を紹介している。同誌によると、テスラはリースの利用者による買い取りを認めず、コンディションの似た同一の車種の中古車をより高い値段でオファーしてきたというネットのコメントもあった。
◆中古市場はEV祭りに? 「買うなら2026年」
インサイドEVは、そもそも景気の先行きが不透明で借入金利が高騰していることを背景にEVの成長が鈍化しているため、EVの価値の下落はテスラだけの問題ではないと述べる。人々はEVを買ってはいるが、業界がかつて予測したほど普及のスピードは速くないということだ。
ただ、中古EVはアメリカではガソリン車より人気が高まっているのも事実だという。裕福なEV愛好家は最新技術にアクセスできる新車を好むが、価格と実用性を重視する購入者は中古を選択する。価格の低下に加え、補助金や税制優遇措置もあり、手頃な選択肢がなくてEV移行を見送っていた層にとっては、買いのチャンスだという。
特に、リース落ちのEVが2026年ごろには中古市場にあふれ始めるとインサイドEVは見ており、さらなる価格の下落が予想されるという。ほとんどのアメリカ人にとっては、EVはまだ新しいものだが、安くなれば一気に普及する可能性もある。最終的な目標がEVの普及であるならば、中古価格の下落はそれほど悪いことではないかもしれないと同誌は述べている。