朝4時に珍事、無人タクシーがクラクションを鳴らし合う…苦情続出 意外な盲点が露呈

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 サンフランシスコで稼働する自動運転タクシーが、早朝の駐車場でクラクションを鳴らしまくり、近隣住民から苦情が続出した。原因は走行中の衝突を防ぐためのソフトウェアにあったが、運営会社側はこの事態を予測しておらず、対応に追われた。

◆朝4時に鳴り響く、無人タクシーからのクラクション
 騒動を起こしたのは、サンフランシスコで無人タクシー・サービスを提供するウェイモの自動運転車たちだ。米CBSニュースによれば、ウェイモは営業終了後の車両を収容するため、サンフランシスコで駐車場を借りている。ところがこの駐車場で、自動運転車たちがお互いにクラクションを鳴らし、駐車場の近隣住民を驚かせるという珍事が起こった。

 目撃者の1人、ランドール・ホワイト氏は午前4時30分ごろに「2台のクラクション」を聞いた。ホワイト氏の隣人は、クラクションのピークは午前4時頃だったと話しているという。(CBSニュース)

 ホワイト氏がソーシャルメディアに投稿した動画には、ウェイモの自動運転車が駐車場を埋め尽くし、何台かが駐車しようとして駐車場内をぐるぐる回っている様子が映っている。ヘッドライトを点灯し、ウィンカーを点滅させながら待機している車たちは、同様に駐車しようとするほかの車両に向かい、クラクションを鳴らしていた。ホワイト氏は午前4時の出来事でなければ、面白いと感じただろうとコメントしている。(USAトゥデイ紙

 ユーチューブでは、駐車場のライブ映像を配信する人も現れ、自動運転車の奇妙な迷惑行動に注目が集まった。

◆予想外だった… 修正後も事件勃発
 ウェイモ側は、クラクションを鳴らしまくるという自動運転車の行動は、衝突を避けるために設計された機能によるものだと説明した。低速走行中の衝突防止が目的で、市街地ではうまくいっているという。しかし、駐車場内でこれほど頻繁にクラクションが鳴ってしまうことは、予想していなかったとしている。(CBSニュース)

 ウェイモ側は、ソフトウェアの調整を行い、問題は修正されたと発表したが、ウェブ誌『ヴァージ』によれば、ライブ映像を配信しているソフィア・トゥン氏が、別の珍事を確認していた。

 トゥン氏によれば、ソフトウェア修正後の最初の夜、何台かの車両が駐車場から外れて、トゥン氏の住むビルの隣の袋小路に入ったという。車たちは袋小路でバックし、クラクションを鳴らし始めたということだ。これを知ったウェイモはすぐに袋小路を使用できないようにし、その後数日は平穏だった。

 しかしその後も事件が発生。今度は駐車場に入るため車道で待機していた無人タクシーの列の1台が、ほかの車に向かって後退。次に並んでいた車両がクラクションを鳴らし後退するという、連鎖反応が起きていたという。ヴァージは、この問題は当初考えられていたよりも少し厄介なことが明らかになったとしている。

◆稼働しながら改善? サービス拡大へ
 ウェイモはもともと、グーグル自動運転車プロジェクトとして知られており、現在は自律走行車会社でグーグルを所有するアルファベットの子会社となっている。事件のあったサンフランシスコ以外にも、無人タクシー・サービスはフェニックス、ロサンゼルスで展開しており、アプリをダウンロードすれば誰でも利用できる。

 USAトゥデイ紙によれば、ウェイモはこの冬さらに厳しい条件下で、システムの性能に磨きをかけるため、カリフォルニア州、ニューヨーク州、ミシガン州の一部でテストを行う予定だという。発展途上のサービスではあるが、無人タクシーは着実に広がっていきそうだ。

Text by 山川 真智子