アマゾン「再エネ100%達成」、目標より7年早く サステナビリティ報告書

屋上にソーラーパネルが設置されたチェコのアマゾン倉庫|Photo Nature Travel / Shutterstock.com

 アマゾンが、データセンターを含む世界のアマゾンの事業で消費されるすべての電力量と同等の電力量を、2023年に100%再生可能エネルギーで確保したと発表。その内容とは。

◆再生可能エネルギー100%の目標とは
 アマゾンは2019年、2030年までにデータセンター、社屋、食料品店、物流拠点のフルフィルメントセンターなど、アマゾンのグローバル事業全体で消費されるすべての電力を100%再生可能エネルギーで賄うという目標を設定し、先日、この目標を予定より7年早くこの目標を達成したと報告した。

 これはアマゾンのすべての事業が再生可能エネルギーのみで運営されているという意味ではなく、再生可能エネルギーに積極的に投資することで、再生不能エネルギーの消費をオフセットしたということを意味する。

 同社は4年連続で再生可能エネルギーの世界最大の買い手で、世界規模で500以上の太陽光発電および風力発電のプロジェクトに投資。アメリカの7600万世帯相当の電力を生み出したと報告されている。

 アマゾンは、2019年に気候団体グローバル・オプティミズム(Global Optimism)と連携し、気候変動対策に向けたイニシアチブ「クライメイト・プレッジ(The Climate Pledge)」を設立し、パリ協定の目標である2050年より10年早く、2040年までにネット・ゼロ・カーボンを目指すという公約を掲げている。

 同社のサステナビリティに関する同社の取り組みをまとめた『2023年版のサステナビリティ報告書』の概要によると、再生可能エネルギーへの投資以外にも、配送用梱包材と使い捨てプラスチックの削減や、2万4000台を超える電気自動車の活用などといった取り組みが説明されている。

◆透明性に欠けるとの批判も
 サステナビリティへの取り組みの積極性をアピールする同社だが、再生可能エネルギー100%の目標の達成ということの具体性や本質的な意義に欠けるといったような指摘もある。炭素排出に関するモニタリングを行う非営利団体は、アマゾンの報告書は、具体的な算出方法の記載が不足しており透明性に欠けるとして、報告書の評価をB判定とした

 また、アマゾンが投資している太陽光発電所や風力発電所で作られる再生可能エネルギーは、事業エネルギーに賄われるわけではなく、そのほとんどが企業や家庭に供給される電力網に送られるという点において、同社の計算は誤解を招くような印象を与えかねないという批判もある

 多くのテック企業と同様、アマゾンもクラウドサービスの「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」上で人工知能(AI)プロダクトを展開している。今後、AIの普及によって、ますます電力需要が増えることが予測されるなか、事業そのものを再生可能エネルギーで賄うための取り組みが求められる。

Text by MAKI NAKATA