今夏発売「クラウン・シグニア」、米国の反応は? 「レクサスにとって潜在的な…」

Toyota Motor Sales, U.S.A., Inc.

 トヨタ自動車の米国部門は今夏、SUV型ワゴン「クラウン シグニア」を現地で発売する。ハイブリッドのパワートレインとAWDを標準装備しており、セダンのクラウンをベースにしながらも、SUV独自の外観デザインを施した。エステートのアメリカ版にあたり、既存のヴェンザ(日本のハリアーに相当)の後継を担う。

◆レクサスに迫る豪華なキャビン
 米カー&ドライバー誌(6月6日)は、クラウン シグニアの魅力は豪華なキャビンと静かなクルージングにあると説く。質が高く装備も豊富であるため、「レクサスにとって潜在的な問題」になるほどだと同誌は述べる。クラウン シグニアには、XLEとリミテッドの2つのトリムがあるが、どちらも豪華で便利な装備を豊富に備えている。

 4万4985ドル(約708万円)からのXLEは、レザートリム、しっかりとしたクッションの備わるヒーテッド&ベンチレーション・フロントシート、デュアルゾーン空調コントロールなどを備える。同誌でテストしたリミテッドは、特装色や360度カメラなどのオプション込みで5万1675ドル(約814万円)に跳ね上がったが、同等装備のRXハイブリッドよりも約5000ドル安く、相対的にお買い得だという。

 米ドライブ誌(6月6日)も、新しくデザインされたエクステリアとインテリア、そして豊富なテクノロジーにハイブリッド・パワートレインのおかげで、魅力的なパッケージになっているとみる。

◆「無難」?「エキサイティング」? 評価分かれる
 一方でドライブ誌は、クラウン シグニアを「王族を装うカムリ・ワゴン」と表現し、トヨタが現在製造しているなかで最も「無難な」クルマの一つかもしれない、という。

 記事は、パフォーマンス・ワゴンを期待していたわけではないものの、クラウン・ファミリーの一員として、レザーのキャビンやパノラマルーフ以外にも何か特筆すべき点が欲しかったと述べている。ドライブモードを頻繁に使用しない限り、それほど魅力的ではないとする内容だ。

 対照的に、米モーター・トレンド誌(6月6日)は、「新型車は常にエキサイティングだが、このクラウン(シグニア)は、近年トヨタから登場したなかで最も魅力的なものの一つだ」と評価している。保守的だったトヨタのラインアップに、「洗練さとセンス」が加わったと述べる。価格帯は高いものの、人気のRAV4やハイランダーに代わる「より魅力的な選択肢」が登場したと述べている。

◆スムーズで快適な乗り心地に期待
 クラウン シグニアについて、カー&ドライバー誌の読者たちはさまざまな角度から議論を繰り広げている。

 「スピードでは抜きん出ていないが、日常利用として、スムーズ・静か・快適な乗り心地以上のものは必要ないだろう」

 「2ヶ月前、このクラウン(シグニア)の340 hp版に乗った。トヨタはエキサイティングなクルマを出すメーカーではないが、説得力のあるモデルだった。ただしCVTはうるさかった」

 「SUVからCUV(クロスオーバー)へ、そしてCUVからワゴンへと業界は進化している。実用性と効率性を考えれば、SUVのような大型のサイズとオフロード性能は必要ないと、人々が気づき始めたのでは」

 現行のヴェンザ人気はいまひとつだが、クラウン シグニアにかかる期待は大きいようだ。

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Text by 青葉やまと