アキュラらしさが足りない…?! ZDXタイプS、米誌レビュー ブランド初EV
ホンダの海外向け高級ブランドであるアキュラから5月、同ブランド初の電気自動車(EV)「アキュラZDX」の納車が始まった。「ZDX」とともに設定されたスポーティータイプの「ZDX タイプS」は、爆発的人気に至らないまま終わった初代と比べればクセがなくなったものの、物足りないとの声も出ているようだ。
◆アキュラの流儀を組むスタイリッシュな外観
新型ZDX タイプSのデザインは、ロサンゼルスの設計チームが手がけた。米カー&ドライバー誌は、ジュエル・アイ型ヘッドライトや五角形グリルなど、アキュラの特徴を取り入れたスタイリッシュなデザインに仕上がったと述べる。
スマートなデザインの下には、102.0kWhを誇るGMのモジュール式「アルティウム」バッテリーを搭載した。最大出力は499hpで、544lb-ftのトルクを誇る。
ZDXは、ホンダとゼネラルモーターズの共同開発から生まれた。米モーター・トレンド誌は、そのスタイリングがアキュラの特徴を忠実に継承する一方、プロポーションはホンダ プロローグやシボレー ブレイザー、キャデラック リリックなど、アルティウム駆動のシステムを採用する既存各車にも近いと分析する。全長および全幅はアキュラ MDXと同等だが、ホイールベースは8.0インチ(約20センチ)と大幅に長く、ルーフ高は2.7インチ(約6.9センチ)低い。
◆ドライブフィールは評価分かれる
テストドライブに臨んだ米ドライブ誌(5月2日)は、タイプSのパワーは十分に感じられ、運転もスムーズで安定していたと振り返る。「パワートレーンをはじめ、ほとんどの場面で運転する喜びを感じさせてくれる」との評価だ。
一方、米モーター・トレンド誌は、その自重とステアリングの重さから、軽快さを感じさせないと述べている。特に、スポーツモードでカーブを走った際、手が痛くなるほどにまでステアリングが重かったという。また、最大限のパワーを引き出すためにはスポーツモードを選択する必要があるが、そのスイッチの位置が不便で反応も遅いため、瞬時にモードを切り替えるのが難しいと同誌はコメントしている。
さらに記事は、アキュラのブランドイメージとは異なり、その運動性能はクラシックなアメリカン・ラグジュアリーカーを彷彿とする、と述べている。アキュラの熱烈なファンにとっては、ブランドの個性が足りないと感じるかもしれないという。
◆高級感あふれる乗り心地
乗り心地については、確かな高級感が感じられるようだ。カー&ドライバー誌によると、タイプSは22インチの大径ホイールとロープロファイル・タイヤを装備しているが、車高調整に対応したサスペンションのおかげで高級感ある乗り心地になっているという。後席は大人2人がゆったりと座れ、フラットなフロアに最大3人乗りも可能だ。
モーター・トレンド誌は、新型アキュラZDXは見た目がハンサムかつ豪華であり、最新技術が詰まっていると評価する。初代のような個性を求める人には必ずしも向かないかもしれないが、それ以外の人々にとっては魅力的な電動SUVとなる、と勧めている。
アキュラ ZDX タイプSは7万4850ドル(約1170万円)で北米で販売中だ。
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