需要鈍化のEV、伸びるHV テスラ対トヨタに注目集まる

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◆明暗を分ける価格
 EV需要鈍化の理由の一つは、消費者がEVの高い価格を敬遠していることにあるとみられる。EVの平均価格は、ガソリン車やハイブリッド車に比べて依然としてかなり高い。米自動車評価会社のケリー・ブルーブックによると、7月の電気自動車の平均価格は5万3000ドル以上であった。昨年同期の6万ドルよりは下がっているが、それでもガソリン車やハイブリッド車の平均価格よりは5000ドルほど高い。

 このことからハイブリッドには、比較的手頃な価格という強力な訴求要因がある。米調査会社のストラテジック・ビジョンのアレクサンダー・エドワーズ社長はWSJに対し、テスラの新規購入組の約8%が元トヨタ車オーナーであることを念頭に、「テスラはトヨタから売り上げを奪っている」と認める。そのうえで、「(テスラが)この状況を維持するためには、価格を大幅に引き下げる必要がある」と指摘する。

◆トヨタの信念が証明された?
 フォーチュン誌は、トヨタの前社長の豊田章男会長がハイブリッドや水素自動車への多角的なアプローチを提唱してきたと振り返り、氏の長年の信念と業界のトレンドが一致したと説く。EV一辺倒は市場に受け入れられないとかねて説いていた、豊田章男氏の信念が証明された形だ。

 EVの普及をねらうテスラのマスクCEOだが、現実はトヨタに味方しているようだ。充電スポットの整備や航続距離の問題など、EV未経験者が初めてEVに乗り換えるうえでのハードルは高い。消費者に敬遠マインドが広がるなか、北米トヨタ・ブランドの責任者であるデービッド・クライスト氏はWSJのインタビューに応じ、ハイブリッドが業界で「真に目覚めたのだ」と明るい展望を示している。

 テスラは2030年までに年間販売台数でトヨタを抜き、世界トップの自動車メーカーになることを目標としている。戦略の変更を迫られる未来もあるかもしれない。

Text by 青葉やまと