オープンAIの騒動が示したリスクとは アルトマンCEO解任・再任
生成AI(人工知能)のチャットGPTを開発したアメリカ企業オープンAIは17日、最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン(Sam Altman)が退社し、最高技術責任者(CTO)のミラ・ムラティ(Mira Murati)が暫定CEOに就任したと発表した。突然のニュースにさまざまな報道や憶測が広がったが、紆余曲折を経て、22日にはアルトマンがオープンAIのCEOに復帰し、新たなメンバー構成での取締役会が発足したことが伝えられた。あらためて注目されたオープンAIの組織構造と、旧取締役会が示したAIのリスクとは。
◆アルトマンの解任とその後のインパクト
オープンAIの公式ブログに掲載された退任報告には、アルトマンの解任に関して具体的な事由は明記されていない。アルトマンが取締役会と一貫したコミュニケーションを取らず、取締役会の責任遂行を妨げたとだけ伝えられた。これによって、テック関係者やメディア関係者の間でさまざまな憶測を呼んだ。アルトマンの解任を受け、共同創業者のグレッグ・ブロックマン(Greg Brockman)および、一部経営陣も退社の意思を示した。
一方、オープンAIに130億ドル出資し、株式の49%を保有する、同社への最大の出資者であるマイクロソフトは、アルトマンの解任の判断には関与しておらず、その事実が知らされたのは、公式発表のわずか1分前だったとのことだ。そして20日には、同社のCEOであるサティア・ナデラ(Satya Nadella)が、アルトマンとブロックマンがマイクロソフトに入社し、新たなAI研究所を率いると報告した。アルトマンのネクストステップに関しては、新しいスタートアップを立ち上げるのではないかという憶測もあったが、マイクロソフトの莫大な資金とコンピューター処理能力を考えると、この流れは妥当であるとも思われた。
一方、オープンAIに残った従業員の770名のうち700名以上が、アルトマンがCEOに復帰しなければ、同社を退職し、マイクロソフトに転職するといった内容の書簡に署名。オープンAIには別の暫定CEOとしてゲーム動画配信ツイッチ(Twitch)の元CEOを務めたエメット・シアが任命されたが、同社の存続が危ぶまれた。
いずれにせよ、マイクロソフトの「勝利」として一件落着したように思われた案件だが、22日になって、オープンAIはアルトマンがCEOに復帰し、新たな取締役会が結成されたと発表した。
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