アマゾンのプライム会員獲得は違法か? 米当局が「ダークパターン」を糾弾
◆FTCの訴えとは
消費者に最大限の便益を提供しているようにみえるが、アマゾンプライム会員にロックインさせるような仕掛けに対しては、規制当局は警戒を示す。現在のFTCの委員長は、委員長就任前からビッグテック企業の規制の必要性を主張してきたリナ・カーン。カーン率いるFTCは、積極的に規制の動きを展開してきている。6月21日、FTCはアマゾンを提訴。アマゾンが長年戦略的に進めてきたプライム会員のプログラムについて、アマゾンが故意に何百万人もの消費者をだまして知らずにアマゾン・プライムに加入させたという点と、解約プロセスを非常に煩雑なものにしているという点が主な指摘であり、違法とする根拠である。
具体的にFTCは、「アマゾンはダークパターンと呼ばれる操作的、強制的、または欺瞞(ぎまん)的なユーザーインターフェースデザインを使用して、消費者をだまして自動的にプライム会員に登録させた」と指摘する。ダークパターンは一般的な例では、時間制限のカウントダウンを表示してユーザーを焦らせることや、明確に示されていない隠れたコストがあるようなインターフェースなどがある。また、解約手続きの複雑さも問題で、ユーザーは4ページを閲覧し、6つのクリックを要求され、かつ15の選択プロセスの検討を経て、やっと解約できるようになっている。入会や購入に関してはほぼワンクリックで簡単にできるようにデザインされている一方、解約手続きの場所はサイト内に埋もれており、まず辿り着かなければならないというのは悪質だといえる。またリークした内部文書によれば、アマゾン社内ではその複雑性は認識されており、故意にそのように設計されていることが裏付けられている。
一方でアマゾン側は「事実と法律の解釈に誤りがある」として、提訴に反発している。アマゾンのサービスに対しておおむねユーザーは満足しているというデータもあるようだ。アマゾンの便利さの裏側にある「コスト」をどう考えるかは、ユーザーの判断に委ねられているのかもしれない。
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