アマゾンのプライム会員獲得は違法か? 米当局が「ダークパターン」を糾弾

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 プライム会員のための年に一度のセールで盛り上がりをみせたアマゾン。一方で、プライム会員の入解約手続きをめぐるやり方が違法であるとして、アメリカの管理当局である連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)は、アマゾンを提訴している。その詳細とは。

◆プライム会員のしくみ
 先進国ではあたりまえのような存在となっているアマゾンでのオンラインショッピング。アメリカでは月額15ドル、年会費139ドルというのがプライム会員になるための基本料金プランだが、ストリーミングサービスだけを利用する場合は月額9ドルのプライムビデオ会員というものもある。学生は月額7.5ドル、年会費69ドルで利用可能だ。プライム会員になれば、配送料は無料、最短での配送、プライムビデオ、アマゾンミュージック、ゲーム、医薬品のディスカウントなどのサービスにアクセスできるほか、アメリカでは傘下に持つオーガニックスーパーチェーンの大手、ホールフーズマーケットでも会員限定の値引きが受けられる。そして、年に一回、世界的に行われる会員限定のセール、プライムデーでは多くの人気商品が特別価格で提供されるため、会員にとっては大きなメリットがある。

 今年のプライムデーはアメリカでは7月11日から12日までの2日間開催。その売上高はアメリカ市場だけで130億ドル近くだと予測され、たったの2日間で3.8億点もの商品が販売された。初日の売上は過去最高を記録した。売れ筋商品にはアップルのエアポッドやハイテク掃除機、ストリーミングを簡単に受信できるファイヤーTVスティックなど、ハイエンドな電化製品が含まれた。支払いを先延ばしにできる「バイナウペイレイター」の仕組みを利用したオーダーが6.6%あり、前年より21%増えたとのことだ。アマゾンは、プライムデーのセールに関して顧客の好みに合わせたカスタマイズを加えており、たとえば閲覧履歴やほしい物リストの中身といったデータを活用した提案が行われた。

Text by MAKI NAKATA