名誉毀損訴訟、看板司会者「降板」も…変わらない米フォックス

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◆看板アンカー、カールソン「降板」の影響も限定的か
 ドミニオンとの和解のニュースから1週間たたない24日、フォックス・ニュースは、同放送局の看板アンカーであったタッカー・カールソン(Tucker Carlson)が同社を去ることとなったと発表。その報告記事においては、同社とカールソンは別の道を歩むことで同意したと記載されており、「降板」や「解雇」といったような表現はない。カールソンは2016年より看板番組『タッカー・カールソン・トゥナイト』の司会を務めてきた。カールソンが去るとの発表があった前週の金曜日も番組は通常通り放送され、最終回の予兆はなかった。

 カールソンは、トランプ大統領をはじめ共和党の政治家に対して大きな影響力を持つとともに、保守派の米国民からの支持を集めていた。カールソンは、移民などによって白人系が非白人系に置き換わるという白人至上主義的な人種差別の陰謀論、グレート・リプレイスメント論(Great Replacement Theory)などやデマを拡散してきた。フォックスとドミニオンの訴訟によって、カールソンは真実を知りながらも、デマや陰謀論を意図的に拡散していた証拠も明らかにされていた。

 人気アンカーを「失った」フォックスだが、同社への打撃は限定的だ。次期アンカー探しは難しくはなく、むしろフォックスにとっては、白人至上主義者的な過激な主張から少し揺り戻すという機会でもあるという見方もある。

 メディアや世間を騒がせているフォックスだが、倫理や真実を守ることに対しての責任を問われることはなく、メディアとしての信頼損失や経済損失も一時的なものでしかなさそうだ。

Text by MAKI NAKATA