「スウォッチ×オメガ」コラボ時計への熱狂続く 新作ゴールド針に大行列

Swatch

◆現地の販売方法への不満も
 長蛇の列に並んだ全員がゴールドを買えたのだろうか。なかにはせっかく列に並んだのに、途中で諦めて帰った人もいる。時計専門誌ウォッチタイムの編集長ロジャー・ルーガー氏は諦めた様子をレポートしている。

 ルーガー氏はゴールド発売の様子について記事を書くため、夕方、チューリヒの販売場所へ向かった。まだムーンスウォッチを所有していないこともあり、一顧客としてゴールドを買ってみたくなって列に並んだ。250番目くらいにつけたので、絶対に買えると思ったそうだ。しかし、3度という寒さのなか、発売開始後3時間たっても列の進行は遅い。一体いつ中に入れるかわからないからと帰宅したのだった。

 列に並んだ体験はそれなりに楽しかった。だが、コレクションの発売からすでに1年がたっており、今回なぜもっと効率の良い販売方法にしなかったのか(外で先にクレジット決済をしてもらい、中では商品を受け取るだけにするとか、中での販売対応スタッフをもっと増やすなど)と疑問を呈している。

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◆オメガにとってもイメージアップに
 昨年、11種類のコレクションは100万個以上が売れた。どの年齢層にも人気だという。このスウォッチ版ムーンウォッチのおかげで、本家オメガのムーンウォッチを含め、ほかのスピードマスターシリーズも注目を集めて売り上げが伸びた。(スイス時計協会

 クォーツ式のスウォッチと機械式のオメガの品質の差は、歴然としている。1年前のムーンスウォッチ新発売の際、オメガは短期的な話題作りのためにコラボして、老舗ブランドのイメージを自ら傷つけるつもりだという批判もあった。一方、このコラボで利益を得るのはスウォッチだけでなく、オメガにも潜在的な顧客を獲得する(将来オメガの時計を購入してもらう)狙いがあるのだろうとも指摘されていた。

 スウォッチとオメガのウィンウィンの関係は今、誰の目から見ても明らだ。現時点では両者の戦略は成功した。

 時計通が存在する限り、時計のトレンドを追う人はいなくならない。オメガ譲りのスウォッチへの熱狂は、いつまで続くのだろうか。

※本文中「新色のゴールド」は「新作のゴールド」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。本文は訂正済みです。(3/31)

Text by 岩澤 里美