「環境危機と闘う」パタゴニア、4300億円相当の株式を寄付 資本主義再考のロールモデルとなるか
◆パタゴニアのこれから
シュイナードが譲渡した全株式の評価額は約30億ドル(約4300億円)と推定されている。また配当金としてコレクティブに寄付される額は、毎年約1億ドルとなる見込みだ。パタゴニアの新体制作りに協力したBDT&カンパニー(家族経営や創業者経営の事業に長期資本提供やアドバイザリーを行う投資銀行)のパートナーであるダン・モスリー(Dan Mosley)は、シュイナード一家は今回の取引における税制優遇は一切存在しないとコメントする。一方、一家がトラストに株式を譲渡した取引に対しては1750万ドル課税されると報じられている。(ニューヨーク・タイムズ)
今回設立されたトラストやコレクティブは、シュイナード家と親しいパタゴニア関係者によって監督されるものの、取消不能の株式譲渡の取引によって、一家はパタゴニアの事業経営に関する財務的なインセンティブをすべて手放したことになる。シュイナードは、この取引を完了させたことで、自分が明日死んだとしてもパタゴニア事業はこの先50年間は正しい方向に進み続けることができると語っている。
財務的インセンティブ一切なしに、パタゴニアが創業者の想いと使命を存続させることはできるだろうか。社会や公益のための非営利団体に事業を売却するという選択肢は、企業が真に持続的成長を遂げるための新しいロールモデルとなるか。パタゴニアのこれからと、同社を見習うほかの非上場会社のこれからの動きに期待したい。
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