「本家に近づけるのが目標」ロシアのマクドナルド後継店が営業開始

Dmitry Serebryakov / AP Photo

 ロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁の流れを受け、ロシア市場から撤退したマクドナルド。店舗はロシア人実業家のアレクサンドル・ゴヴォル(Alexander Govor)に売却された。そして先日、新生「マクドナルド」の15店舗が営業開始となった。

◆マクドナルドのロシア撤退
 ロシアのウクライナ侵攻から12日後の3月12日、マクドナルドはロシア内の店舗を一時的に閉店し、営業停止すると発表した。同社のサイトに掲載されているこの発表は、CEOのクリス・ケンプチンスキー(Chris Kempczinski)が従業員とフランチャイズ・オーナーに対して送った電子メールのメッセージだ。ウクライナにおける紛争と欧州の人道的危機に対して、侵略と暴力を非難し、平和を祈るという世界の流れに会社として従うとある。マクドナルドはロシア市場で30年以上にわたって展開。この発表時、850店舗を展開し、6万2000人の従業員を抱えていた。一方、戦禍のウクライナにおいては、同社はウクライナの従業員への賃金・給与支払いを継続し、難民支援を行うなどの支援を行っていると伝えた。

 先の発表から約2ヶ月後の5月16日、マクドナルドはロシア市場から撤退すると発表。従業員の継続雇用を条件に、事業をロシアの企業に売却する予定であるとした。ウクライナにおける戦争が生み出した人道的危機と前途多難な経営環境が、この判断の背景であると発表された。マクドナルドは、レストラン事業のポートフォリオすべてを売却するが、マクドナルドの名前、ロゴ、メニュー名などは取り外し、ロシアにおける商標は自社で保持すると伝えた。

 市場撤退発表の3日後、マクドナルドはロシアにおける事業を実業家のアレクサンドル・ゴヴォルに売却すると発表。ゴヴォルは、2015年以来、マクドナルドのライセンシーとしてシベリアで25店舗を展開してきた人物。発表当時、詳しい売却条件は明らかにはされなかったが、ゴヴォルは少なくとも先の2年間、既存の従業員を雇用し続けるとの条件に同意したとのことだ。

Text by MAKI NAKATA