TikTok幹部インタビュー ショッピング機能、フェタパスタ
今年はじめ、アメリカの一部の店でフェタチーズが品薄状態になった。その原因となったのが、TikTokだ。とあるクリエイターが紹介したフェタパスタのレシピが「バズった」のだ。
短編動画作成・投稿型SNSのTikTokがアメリカでサービス開始したのは2018年のこと。それが爆発的人気となり、いまやチーズからレギンスまで、アプリを見たユーザの購買意欲をかきたてる媒体に成長。ショッピング業界で大いに力を発揮している。
その力を利益につなげていきたいと考えるTikTokは昨年、サンディ・ホーキンス氏を採用した。ゼネラルマネジャーに就任した同氏の仕事は、北アメリカで収益を上げることだ。ブランド各社に直接かけ合ってアプリ広告を販売するほか、TikTokでの動画制作を勧めたり、売上増加につながるTikTokの活用法についてレクチャーするなど、精力的に活動している。
AP通信のインタビューに対し、ホーキンス氏は「インフルエンサーとクリエイターの違い」や、自らフェタチーズを購入した経緯などについて語ってくれた。なお、インタビュー内容は誌面の都合上一部編集している。
Q: TikTokで「バズる」動画を作るコツはありますか?
A: それがこのプラットフォームの美点なのですが、わからないのです。TikTokではどんなコンテンツでも流行る可能性があります。TikTokの魔法が生まれるのは、「おすすめ」のページです。ユーザの好みを学習して、それに合うタイプのコンテンツを届けてくれます。フォローしているクリエイターを基準に選んでいるわけではありません。
Q: 人々がTikTokの動画を見て購買意欲をそそられる要因はなんだと思いますか?
A:プロダクトプレイスメントの進化だと思います。商品を実際に使用したり、身に着けたりしているのは生身の人間です。たとえばあなたがダンサーで「履き心地が最高」という触れ込みのレギンスがあったとします。それを実際に履いて踊っている人の動画をTikTokで見れば、ズレ落ちたりめくれあがったりしないか確認できます。彼らは商品を「誇大宣伝」したりしませんから。
Q: TikTokの動画を作る人をインフルエンサーではなく、クリエイターと呼んでいますね。なぜですか?
A: TikTokの動画は誰でも作れますし、誰でもこのプラットフォームで活躍できますから、あえてクリエイターと呼ぶことにしています。TikTokで活躍している、とあるファッションクリエイターがGapのパーカーを着て動画を投稿したところ、そのパーカーが人気アイテムになったことがありました。彼女はGapがフォローしたり、製品を贈ったりするようなインフルエンサー的な存在ではありません。ただある日Gapのパーカーを着てみたら、その着こなしを人々が気に入り、Gapのパーカーが流行り始めたのです。
Q: ほかのソーシャルメディアでは、インフルエンサーが企業から報酬を得ているため信頼できないという声があります。TikTokでも同じことが起きないよう予防策などはあるのでしょうか?
A: 我々のプラットフォームには信憑性があります。人々はフェイクにはなりたくない。フォロワーを失うくらいなら自分が信じていないものは支持せずあえて語らない、という方が多いですね。そうでないと大切な信頼を失ってしまいますから。
Q: TikTokで見たものを買ったことはありますか?
A:フェタパスタは作りました。料理はあまり得意ではありませんが、TikTokでレシピを見るのは大好きです。フェタパスタのレシピを見たときに、これは私にも作れると思いました。その頃にはすでにフェタチーズが品薄になっていましたが、何度か店に足を運んで、ようやく手に入れることができました。
Q: 現在はユーザがTikTokで直接製品を購入するシステムはありませんが、今後導入していく予定はありますか?
A: 私たちはTikTokでのショッピング体験を向上させるべく、日々アプリの機能進化の道を模索しています。製品購入までのプロセスも、今後明確にしていきたいと考えています。
By JOSEPH PISANI AP Retail Writer
Translated by isshi via Conyac