ウーバーやリフト、30年までに電気自動車へ移行
新型コロナウイルスの感染が広がるアジア諸国だが、米国では着々とワクチン接種が進んでいる。先月の24日からは、ライドシェアサービス大手のウーバー・テクノロジーズとリフトがホワイトハウスと協力し、新型コロナウイルスワクチン接種を受ける拠点への移動を無料もしくは割引する送迎プログラムを開始した。独立記念日である7月4日までに、成人の7割接種を目標としている。そのウーバーやリフトなどの配車企業に対し、今回カリフォルニア州が、電気自動車(EV)への移行義務付けを発表した。ウーバーとリフトは規制を支持しているが、低中所得運転手に移行費用を支援するよう政府に求めている。
◆新ルールの背景
カリフォルニア州大気資源委員会は「クリーンマイル基準(Clean Mile Standard)」を承認し、2023年から新ルールを導入することを発表した。初年度は2%を電気自動車にすることを義務付け、2027年には50%、2030年には90%に引き上げる。カリフォルニア州大気資源局(CARB)のリアン・ランドルフ局長は「交通セクターは、州の温室効果ガス排出量の約半分を占めており、その大部分は小型車である。この動きは、州の気候変動への取り組みに確実性をもたらし、最も恵まれない地域社会の空気の質を改善するために役立つ」と述べた(フォーブス誌)。この動きは、2035年までに新車のガソリン車の販売を禁止するという州の計画とも一致している。
◆ライドシェアサービスの課題
ウーバーは2040年までに、リフトはさらに積極的に2030年までに、すべての車両を電気自動車に切り替えるという目標を掲げている。しかしクリーンエネルギー調査会社BloombergNEFによると、現在、米国の配車サービス車のわずか0.5%が電気自動車であり、乗用車全体の0.7%を下回っている(ブルームバーグ)。
大きな課題となっているのは、ウーバーとリフトが運転手に支払う金額が非常に少ないことである。仕事を掛け持ちしている運転手がほとんどで、費用を引くと1時間約13ドル(1400円)ほどしか稼ぐことができない。そのため、いくら電気自動車への移行によりコストを削減できるとわかっていても、そもそも電気自動車を買う頭金がない。バッテリー価格の急落と政府の補助金で価格が下がっているが、それでも電気自動車の価格は同等のガソリン車より数千ドル高い。しかし、ウーバーとリフトは、クリーンな車両の高い初期費用をドライバーが支払えるよう支援する資金を、ほとんどもしくはまったく投じていない。ウーバーは昨年、世界中の「数十万人のドライバー」が2025年までに電気自動車に移行する支援として8億ドルを提供すると発表したが、これは主に自動車メーカーや充電会社との割引交渉によるもの、また特定都市の利用者が追加料金として支払う。リフトは、金銭的インセンティブを一切提供していない。
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