アフリカで中国の音楽配信「ブームプレイ」躍進 大手も狙う市場の現在地
ナイジェリアや南アフリカなど、アフリカ各国発の音楽がグローバル化する一方で、アフリカ大陸内では音楽のストリーミング業界の競争が増している。グローバルブランドである、スポティファイやアップル・ミュージックがアフリカ市場への展開を広げる一方で、アフリカ市場向けのサービスも各国・地域で展開している。なかでも躍進するのが中国のブームプレイ(Boomplay)だ。ブームプレイは、主要なレコードレーベルとのライセンス契約を結び、アフリカ各国に展開している。競争が高まる音楽ストリーミング業界の動向とブームプレイの展開戦略とは。
◆競争が増す、音楽ストリーミング・サービス業界
アフリカ地域に特化した調査・メディア会社のWeetrackerによる2020年5月時点の調査報告によると、アフリカ各地において、少なくとも25の音楽ストリーミング・サービスが展開している。その内の7割がローカルで、3割がグローバルブランドだ。アフリカ地域における音楽ストリーミング・サービス業界は、グローバルの状況と比較するとまだ初期段階にある。アフリカで最初にストリーミング・サービスが展開されたのは2013年で、ナイジェリア人投資家に買収されたフィンランド発のサービスであった。その後、過去5年の間に次々と新たなサービスが生まれ、現存サービスの5割以上が過去5年以内にローンチしたサービスだ。
ストリーミング・サービスの成長は、スマートフォンの普及拡大とデータ利用の増加に関連している。Weetrackerによると、2018年以降はケニアのサファリコムや南アフリカのMTNグループといった携帯電話会社も、独自のサービス開発と展開を始めた。携帯電話会社には、自社で展開するサービスのデータ使用料を無料にするなどして、顧客を囲い込むという意図がある。
グローバルレベルで業界を牽引するスポティファイは、それまで北アフリカの数国と南アフリカをあわせたアフリカ5ヶ国でしか展開していなかったが、今年2月に展開市場を大幅に拡大し、ケニアやナイジェリアなど、新たに40のアフリカ各国で展開することを発表した。一方、アップル・ミュージックも昨年からアフリカにおける展開市場を拡大している(OkayAfrica)。ほかにも米国のオーディオマック(Audiomack)やユーチューブ・ミュージック(YouTube Music)、フランスのディーザー(Deezer)、ノルウェー発のティダル(Tidal)がアフリカでも展開を進めている。そして、アフリカ市場にフォーカスしたローカルプレーヤーでは、中国の会社が展開するナイジェリア拠点のブームプレイや、ナイジェリア発のuduX、ケニア発のMdundoなどが展開している。
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