自動サイズ調整、体調モニタリング……AI衣料を英スタートアップが開発中

長袖のモデル「Exoshirt」。色や柄は変更可|Decorte Future Industries Ltd

 二つめは、AIを利用し、遠くにある機器やロボットを声やジェスチャーで操作できる点だ。マイクが装着してあり声で指示したり、腕で特定の動きを取ったり袖のどこかに触れたりすることで指示が届く。具体的にどんな機器をリモートコントロールできるかは、まだ明かされていない。

 DIFのスマートウェアは洗濯可能で、乾燥機も使用できる。

◆咳も感知 高齢者の新型コロナ感染モニタリング
 DFIのスマートウェアの緊急のターゲットは、高齢者や障害者たちだ。新型コロナウイルスの感染拡大に合わせ、介護現場で使ってもらい、感染の徴候(熱や咳など)の早期発見に役立てようというのだ。

 DFIには、救急サービス、スポーツ、ヘルスケアなどさまざまな分野から問い合わせがあった。また、非常に複雑な機能を装備することも可能なため、軍事用にとイギリス国防省の機関からも関心が寄せられたという。そんななか、同社のアドバイザーに高齢者施設の元CEOがおり、介護現場でのスマートウェアのニーズが高いはずだと提案して感染が国内で拡大する前に調査を始めた。イギリスの介護現場では、入居者の健康状況に関して継続的に数値化したモニタリングは行われていないという。そして感染状況を見守るうちに、軍事用のものをごく簡単にした安価バージョンを早急に作ることにした。

袖なしの「BioKey」。介護現場での使用を目指す|Decorte Future Industries Ltd

 それが、袖なしのBioKeyで、心拍数と体温を測定するほか、咳の感知もできる。

Text by 岩澤 里美