Zoom、新規登録は鈍化も四半期決算は好調

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 ビデオ会議サービス「Zoom(ズーム)」が示した驚異的な成長は、新型ウイルス流行が収束するのにともない、そのペースが減速している。学校やオフィスなど、昨年閉鎖されていた場所へ戻っていく人が増えるなか、大人気を得たビデオ会議サービスは勢いを失うのだろうか。

 3月1日にZoomが発表した四半期決算報告はすばらしい業績を示したものの、一方では成長が鈍化している様子も浮き彫りになった。自宅にこもった何百万もの人々がオンライン画面上で集うことの代名詞にもなったZoomは、この1年を見事な業績で締めくくった。

 Zoomが第4四半期である2020年11月から2021年1月までに得た利益は継続して安定していたものの、新規アカウント数の伸びは、コロナ禍での生活が続いたそれまでの3四半期間に比べて大きく縮小した。

 成長の鈍化が広く予想されているとはいえ、Zoomの四半期決算は、利益と売上高のいずれにおいてもアナリストの予測を軽々と超えるものであり、同社経営陣による来年度の第1四半期および通期の見通しを上回る結果であった。この発表を受け、Zoom株価は3月1日の時間外取引中に9%近く値上がりした。それでもなお、高値だった2020年秋の水準を大きく下回っている。

 2020年夏の終わりごろから鈍化を見せ始めた新規アカウント数を不安視する投資家は、ワクチンが浸透し、2021年後半には生活がコロナ禍以前の状況に戻り始めることで、Zoomの勢いが失われることに危惧を感じている。

 このような懸念材料により、一度急騰したZoomの株価は2020年10月に最高値をつけて以降、およそ30%下落している。

 2021年1月末時点で、Zoomの定額有料サービスに登録している法人顧客数は、従業員数10名超の企業で46万7100社と発表された。前四半期末の10月末時点から3万3400社増えたものの、新型ウイルスが蔓延していたそれまでの3四半期間に6万3500社から18万3500社へ増加したことを考慮すると、その増加幅は大きく縮小されている。

 ニュークリアス・リサーチ社のアナリストであるトレバー・ホワイト氏は、「Zoomにとってはすばらしい1年だったが、良いことにはすべて終わりがある。根本的な問題が残されている。Zoomはこれまで以上の成長を維持することはできない、という点だ」と話す。

 とはいえコロナによって社会が様変わりし、ビデオ会議が必須となるより前の時期と比較すると、Zoomの規模はずいぶん大きくなり、収益性も認知度も高まった。カリフォルニア州サンノゼに本社を置くZoomに登録されているアカウント数は1年前の6倍超、年間売上高は4倍増の26億5000万ドルである。

 Zoomは直近の四半期において、売上高が前年同期から4倍超の8億8200万ドルを計上したと発表した。純利益は前年同期の1500万ドルに対し、2億6000万ドルとなった。

 新型コロナウイルスの終息後はビデオ会議の需要が減少することを認識しているZoomは、より大きな収益を見込んで、音声のみのインターネット電話など、新しいサービスを発表してきた。3月1日、Zoomは電話サービスの利用者数は現在1万700社であると公表した。その多くはビデオ会議サービスを利用している企業である。

 ケリー・ステッケルバーグ最高財務責任者(CFO)は、コロナ禍にビデオ会議を行っていた多くの利用者にとって、今後も同サービスが主要なコミュニケーションツールであることに変わりはないと考える。

 AP通信のインタビューでステッケルバーグ氏は、「世界を再始動させるにあたり、私たちは、働き方、学び方、社会との関わり方において自分たちの生活をうまく順応させてきました。この変化は今後も変わらないでしょう」と答えている。また同氏は、Zoomは拡大するための「好機を常に画策している」ことを示唆した。

 リサーチ会社のサード・ブリッジでアナリストを務めるスコット・ケスラー氏によると、42億ドルもの資金といまなお価値のある株を所有するZoomは、買収を通して別分野へ進出するための手段を備えているという。

 Zoomはまた、オフィスでの仕事が再開しても、一部の従業員が一定の時間、リモートでの仕事を継続できるよう、ビデオ会議サービスの契約を継続する企業は多いと期待している。

 たとえそうであっても、ケスラー氏は、「オフィスでの勤務が増えるにつれ、Zoomの利用は少なくなりそうだ」とは指摘する。

 Zoomは、コロナ禍においてビデオ会議をうまく活用できた企業の成功体験に期待を寄せる。各拠点にいる従業員が会議のために出張し集まる代わりに、オンラインでの会議が多く開催されていくことを確信している。

By MICHAEL LIEDTKE AP Technology Writer
Translated by Mana Ishizuki

Text by AP