コロナで仕事の自動化加速、今後5年でどう変わる 世界経済フォーラム報告書
自動化やテレワークが拡大するなか、通称「ダボス会議」を年次開催する世界経済フォーラム(WEF)は、「新型コロナウイルスのパンデミックにより労働市場の変化が加速し、企業では2025年までに人間と機械が半分ずつ仕事を分担するようになる」と予測している。
WEFは10月21日にリリースされた「仕事の未来レポート2020」において、「人間と機械の新たな分業により、5年後までに世界中の15の業界で約8500万人が仕事を失う」と予想している。一方、人工知能やコンテンツ作成、保育や看護にかかわる「介護経済」などの分野では、9700万人分の仕事が新たに創出されるとみられている。
2年前の時点で、WEFは「1億3300万人分の雇用が創出され、7500万人が職を失う」と予測していた。
WEFのサーディア・ザヒディ取締役は、「本質的に雇用喪失率は上昇し、雇用創出は鈍化した」と語る。その反面、「幸い、全体的に見れば雇用喪失よりも雇用創出のほうが多い。しかし、その割合は変化しており、労働者が次の役割を見つけるのが難しいことは間違いない」という。
イベント主催者兼シンクタンクのWEFは、「データ入力や経理、事務といった仕事は減少する」とした一方、「コロナ禍で存在意義を示した看護師や食料品店従業員、郵便局員、介護福祉士といった『最前線の労働者』は上昇傾向にある」と話す。
「将来的にこうした職種には吉報があるかもしれない。賃金の上昇圧力や彼らの仕事への認識がはるかに高まるためだ」とザヒディ氏は言う。その反面、コロナ禍で「一時停止」を余儀なくされた航空業界や観光業界などは、コロナ危機が続けば圧迫が強まり、恒久的な失業につながる恐れがあるという。
一方、世界経済全体で自動化の重要性はますます高まっている。
「企業では2025年までに、機械(ロボットやアルゴリズム)と人間が半分ずつ分担するようになるだろう。だからといって、新たな仕事が生まれないわけではない。我々がデータを精査する限り、新たな職種の需要が必ず高まるだろう」と、ザヒディ氏はレマン湖を望むWEF本部でのインタビューで述べている。
今回の調査で、新型コロナウイルス感染拡大がアメリカの労働市場に与えた影響について分析したところ、2月から5月までに失職した労働者の多くが低賃金の若い女性であることがわかった。また、2008年の世界的な金融危機で低学歴の労働者が受けた影響と比較した結果、新型コロナウイルス拡大が与えた打撃の方がはるかに深刻で、不平等が深まる恐れがあることも判明している。
「仕事の未来レポート」は各国政府に対し、強力な社会的セーフティネットの整備や教育の改善、そして未来の仕事に投資するインセンティブ提供など、より多くの労働者支援を実施するよう求めている。
WEFのレポートは、民間セクターのパートナーと共同製作され、おもに最高人事責任者や最高戦略責任者などの予測に基づいており、約300のグローバル企業(全社の総従業員数約800万人)を代表するものである。
JAMEY KEATEN Associated Press
Translated by isshi via Conyac