「男性の購入増えている」観葉植物店が語る、コロナ下の特需と販売傾向

Kelly Boitano / T he Sill via AP

 新型コロナウイルスのパンデミックの期間、消費者が買いに走ったのはトイレットペーパーだけではない。観葉植物にも、人々が殺到した。

 オンライン植物店「ザ・スィル(The Sill)」では、観葉植物の需要が高騰したことから、一部の品種が品切れになった。また、同社が驚くほど注文が殺到し、配送も追いつかない事態となった。外出自粛によってインターネットで買い物をする人が増えたため、オンライン通販大手のアマゾンでさえ同様の問題を抱えていた。

 2012年にザ・スィルを設立したエリザ・ブランクCEOは、外出自粛や他者との分離が当初の予想より長期化すると人々が気づいたことで、植物に注目が集まったのだと話す。

「植物というのは育成し、関係を築ける相手」だと35歳のブランク氏は言う。

 同社は今年、新たに2つの実店舗をオープンする予定だったが、パンデミックによって延期となり、その分、既存の5店舗に注力した。

 しかし、ザ・スィルはそれとはまた違った方向へと拡大している。10ドルのオンラインクラスではサボテンなど多肉植物の手入れ方法を学べるほか、植物の専門家に質問することができる。また、ランなどの植物もラインナップに加えた。ランは高さ約35センチほどで、価格も75ドル(約8000円)と比較的高価だ。

 ブランク氏はAP通信の最新のインタビューで、同社のベストセラー商品や、男性が植物に熱中する理由などについて語った。以下、インタビュー内容をQ&A形式に編集して紹介する。

Q: 植物は育つまでに時間がかかると思いますが、注文が急増した際はどのように対応されましたか?

A: 当初は、お客様に商品が届くまで通常より長くお待ちいただきました。いまはシフトを追加し、一部の生産者に出荷作業をお願いするなどして乗り切っています。だいぶうまくまわり始めました。それでも、まだコロナ前と比べると厳しい時期を送っているといえます。

Q: その理由は?

A: なかには、まだ育成中で次の収穫時まで入手困難な植物もあります。栽培農家が追いつかないほど速いペースで売れてしまったのです。

Q: どんな植物が人気ですか?

A: 最も人気が高いのは、日光が少ない環境やマンションなどでも生育可能な植物です。都市部に暮らす方々はとくにそうですね。低照度条件にも強いザミオクルカス属は、何度も売り切れました。どんな環境にもよくなじむので、初心者にとてもおすすめです。

Q: 数年前からアマゾンでも植物の販売を開始しました。これに対し御社はどのように闘っていますか?

A: 私どものお客様はおもに、これまで植木のお世話をしたことのない植物初心者です。ですから、新しい発見に出会えるポータルサイトや「どの植物から始めたらいいか?」といったガイダンスに需要があります。初心者向けの商品にしたらいいのか、ペットの体に優しくて毒性のないものはどれなのか……といったことです。当社のサービスなら、こうした悩みが解消できます。アマゾンの問題点は、概して「何が欲しいか」を正確に理解していなければ検索して見つけることができないということだと思います。

Q: ザ・スィルのおもな購買層は?

A: 年齢層は25歳から35歳で、男女ともにいらっしゃいますが、やや女性が多いですね。ただ、実際は男性からの関心や商品購入も徐々に増えているので、こうしたトレンドを見ると我々もテンションが上がります。

Q: なぜ男性の顧客が増えているのでしょうか?

A: 室内の装飾や健康、セルフケアをこれまで以上に真剣に考える男性が増えたのだと思います。働く若い男性は家の装飾や本格的な料理に投資などしない、というステレオタイプはもはや存在しません。彼らも成熟してきて、同世代の女性と同じくらい自宅で自分のための空間づくりをするようになっています。

Q: ザ・スィルは観葉植物に力を入れていますが、屋外のガーデニング用商品についてはいかがでしょう?

A: もちろん、前向きに考えています。ただ、いまは観葉植物にとって大事な時期です。人々が何とかして屋内空間に「自然」を取り入れようとしていますから。まずはそこからスタートするのが最善だと思っています。屋外で緑に触れられないのなら屋内に取り入れなければなりません。でなければ、人は正気を失ってしまいますから。屋外ガーデニングに参入しない、ということではなく、いまは最大のニーズと優先順位が観葉植物にあると思っています。

By JOSEPH PISANI AP Retail Writer
Translated by isshi via Conyac

Text by AP