「ホンダの未来への一台」CR-Vに北米初のハイブリッド RAV4との対決も現地注目

2020年式ホンダCR-Vハイブリッド

 ホンダ CR-Vは、高い動力性能と悪路走破性を誇るミッドサイズSUVだ。国内ではいったん販売が打ち切られるも、2018年に新プラットフォームをベースとした5代目として復活を遂げている。このモデルからハイブリッドを選択可能となったが、北米ではデビューが遅れていた。このたび2020年版としてハイブリッドモデルが満を持して登場し、アメリカの各自動車情報誌はパワートレインの差異以上の価値を見出している。

♦︎RAV4のライバルとして
 米カー&ドライバー誌(3月17日)は「CR-Vハイブリッドは明らかにトヨタのベストセラーのハイブリッドであるRAV4を意識している」と述べ、米国内で昨年9万2000台を販売した人気SUVを追い上げる車種として捉えているようだ。もっとも初代から4WD仕様だったCR-Vは、決してRAV4に追随する形で4WD化したというわけではない。しかしながら、北米では2020年型からハイブリッドモデルが投入されたことでホンダ初の4WD・ハイブリッドの構成となり、同じく4WDを前面に打ち出すRAV4のライバル車種という印象がいっそう強まった。

 とはいえ、四輪駆動に対するアプローチはRAV4とは顕著な違いがある。独立した電動モーターで後輪を駆動するRAV4に対し、CR-Vは前後輪をシャフトで連結している。さらにその途中にクラッチに似た機構を設けることで、シーンに応じ接続と切り離しを行う仕様だ。例としてスリップが検出された場合には前後輪を切り離すことで安定性を取り戻し、一方で急勾配の坂を登るときなどは前輪からの動力を受けることで後輪のトルクを増強する。カー&ドライバー誌はこの機構を、RAV4との差別化ポイントとして取り上げている。

 一方で燃費の面では、RAV4に軍配が上がるようだ。アリゾナ州ツーソンの街を11キロほど走ってみたというモーター・トレンド誌は、CR-Vの燃費が約16.49km/Lであったと報告している。RAV4を同じコースで走ると19.85km/Lとなったことから、燃費性能ではRAV4に大きく譲る結果となった。柔軟な駆動方式を選ぶか燃費を取るかが購入時のひとつの判断ポイントになりそうだ。

Text by 青葉やまと