新型コロナ対策に名乗りを上げる企業たち マスク無償提供、人工呼吸器の開発

消毒ジェルを生産するLVMHの香水工場|LVMH via AP

 2月下旬よりイタリアで感染者数が増えだしてから瞬く間にヨーロッパ中で、そしてアメリカでも猛威を振るいだした新型コロナウイルス。その感染スピードの速さにイタリアの医療機関がパンク状態になっているさまを目の当たりにし、欧米の各国政府は明日は我が身と火急の対応に追われている。

 なかでも最も懸念されているのが、ウイルスにより引き起こされる肺炎の治療に必要な人工呼吸器と、医療従事者に必要なマスクや消毒剤の不足により、治療ができない重篤な患者が出て死者数が増加することだ。

 そのようななか、医療系ではない、誰もが知る欧米系メーカーが多数、自社の生産ラインを使い、新型肺炎の治療のために必要とされる物品を製造する可能性を模索し出している。

◆できることを見出し即座に行動
 フランスを拠点にする化粧品メーカー、ロレアルは、3月の第2週より自社工場でハンドサニタイザーの製造を始め、傘下のブランドの供給ルートを利用し、ハンドサニタイザーやその原液を無償でヨーロッパの病院やパートナー企業に提供すると発表した。また同社は、ヘアサロンなどの顧客の支払いを通常営業ができるようになるまで凍結する、社会不安を抑えるためNPOへ100万ユーロ(約1.2憶円)の寄付をするなどの社会貢献策も計画している。

 ルイ・ヴィトンやブルガリなどの高級ブランドを数多く所有するフランスのLVMHも、同社の香水や化粧品の生産ラインで除菌用ジェルを製造、また、医療用とFFP2のマスクを合わせて4千万枚確保し、フランス保健当局に無償で提供する旨を公表した。

 アパレルメーカーでも新型コロナ対応への協力に手を挙げる企業が出てきており、ファッション誌ヴォーグによると、スペイン系のZARAを経営するインディテックスはすでにスペイン政府にマスクを寄付した。また、医療用に適した素材が見つかり、自社工場での生産が可能であれば病衣の生産を始める用意があるという。

Text by Tamami Persson