7400万円は少ない? アマゾンの豪火災への寄付に非難の声 額以外の理由も
◆セレブは寛容、続々と高額寄付表明
森林火災の被害に対し世界中のセレブが寄付をすると表明している。アカデミー俳優のレオナルド・ディカプリオが創設した環境団体「アース・アライアンス」は300万ドル(約3億3000万円)の寄付を約束した。歌手のエルトン・ジョン、映画『アベンジャーズ』のソー役で豪出身のクリス・ヘムズワースも、それぞれ100万ドル(約1億1000万円)を寄付するとしている(フォックス・ビジネス)。
さらに、世界で最も若い、自力で成功した富豪とされるカイリー・ジェンナーも100万ドル、意外なところではメタル・バンドのメタリカも、75万ドル(約8200万円)の寄付を申し出ている。
実際のところ今回ベゾス氏が表明した額は、アマゾンとしての寄付になるということだ。MWによれば、アマゾンは物資やテクニカルサポート面での協力も約束しているというが、時価総額9360億ドル(約102兆円)とされる同社からすれば、1万豪ドルの寄付はしないに等しいとVoxは主張している。ちなみに約2倍の金額の寄付を表明しているフェイスブックには批判はあまりないということだ。
◆消費者の厳しい目、寄付は逆効果にも
Voxは、寄付金額をケチったこと以外に、アマゾンとベゾス氏への批判が高まった理由があると述べる。商品を世界中に配送するというアマゾンのコアなビジネスにとって、温室効果ガスの大型排出者となるのは不可避だ。さらに化石燃料を売る企業と提携もしており、同社の企業としてのポリシーが壊滅的森林火災につながる状況を作り出した一因であると考える人がいるという。
さらに、納税の方針も怒りを買った。アマゾンは多くの税控除や税の抜け穴を利用している。オーストラリア事業の売上は10億ドル(約1100億円)なのに、納税額は2000万豪ドル(約15億円)しかない。もしアマゾンがもっと税金を支払っていれば、豪政府はその税収を災害防止、環境への負荷軽減、救助活動などに充てることができたはずだ。わずかな税しか納めず、その結果起きた問題のために寄付をするという態度が、人々の不満を高めたとVoxは解説している。
かつては企業の寄付はPRの絶好の機会と捉えられていたが、アマゾンの場合のように裏目に出ることもあるとVoxは述べる。寄付が全否定されることはないが、確固とした目的や本質のある寄付は支持される一方、出すというだけの象徴的な寄付は批判の対象になり得るということで、企業や篤志家からの寄付に対する世間の見方も大きく変わっているようだ。
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