ロンドン地下33mで作った野菜が人気 防空壕跡に植物工場

Growing Underground

 土を使わない水耕栽培で、LEDを使ってレタスなどの野菜を育てる植物工場が、日本にはおよそ200あるという(日本施設園芸協会)。政府が支援したこともあってここまで増えたが、「水質が不安定で温度調節が難しく、安定生産が困難」「設備コストが高く、販売価格も高くなる」「販売先の開拓が難しい」という問題が生じている(NHK)。

 一方ロンドンでは、「グローイング・アンダーグラウンド(Growing Underground)」という地下の植物工場で、同じ方法で作られる葉野菜が安定した出荷を続け、販売先も増やし、成功している。

                                                                                                                 

◆地下33mからロンドンのスーパーへ
 ロンドン南西部の「グローイング・アンダーグラウンド」は、地下33mの8000人を収容できるほどのスペースの中にある。なぜ地下にこんな空間があるかというと、第2次大戦中に使用されていたシェルター(防空壕)だったからだ。同園は2年以上の試作を経て、2016年春から葉野菜の販売を開始した。

 地下農園を起業したのは、子供のときからの友人同士のスティーブン・ドリング氏とリチャード・バラード氏だ。2人はロンドンで栽培してロンドンで食べる地産地消の食品を作りたいと考えていた。「気候変動もあり、人口増加もあり、物資を世界中で輸送し続けたいとは思わないはずです。私たちは、フードシステムを考えてみる必要があります」とドリング氏は英紙インディペンデント(2017年2月)に語っている。

 同園の2019年春のカタログによれば、現在、パセリなどの緑色からレッドアマランサスなどの赤紫色まで単種は16種類、葉をミックスしたパックは5種類販売している。出荷先は、高級スーパーのM&S(マークス&スペンサー)、ウェイトローズ、高級志向の自然食品スーパーのホールフーズマーケットなどで、今春には、庶民派の大手スーパーのテスコでも販売を開始し、着実に前進している。またオンラインスーパーでも販売したり(ミックスパック70gが約340円)、ホテルやレストランにも出荷している。

 スーパーへの搬送距離が短くて済むため、地下で包装してからスーパーで購入して自宅に持ち帰るまで4時間以内で済むこともある、と同園サイトではPRしている。

Text by Satomi Iwasawa