ミレニアル世代にもできる投資術
アメリカのニュースの見出しを見ていると、ミレニアル世代はマイホーム離れが進み、学生ローンが完済できず、ましてや高級コーヒーやアボカドトーストにも手を出さないなど、経済的な目標をクリアできずに苦しんでいると思われるかもしれない。
ただ、投資に関していえば、彼らにも芽はあるかもしれない。投資会社のTDアメリトレードが2018年に21歳から37歳を対象に調査を行ったところ、退職積立金を含め、何らかの投資を行っていると回答したのは対象者全体(1519名)の50%だった。
驚くべきことに、投資は達成しやすい経済目標の一つだと考えられる。ミレニアル世代でもほんのいくつかのステップを踏めば、投資先を決めて、初めての取引を開始し、より大きな投資目標に目を向けることができる。
◆投資用の経済基盤を準備する
株式市場や投資の世界に飛び込む前に、まずは自分の財政基盤が健全であるかどうか確認してみよう。
「投資は素晴らしいですが、自分の全体的な財務状況を整理する必要がある場合は、そちらを優先してください。予算をしっかり管理し、定期的な貯蓄習慣を確立しましょう」と、ニューヨーク在住の公認ファイナンシャルプランナー、カトリーナ・ウェルカー氏は言う。
投資を始める前に、以下のポイントをクリアしておこう。
◆高金利ローンの返済
クレジットカードや給料日ローンなどの高金利ローンは返済しておこう。より金利の低いローンにまとめれば、完済までの期間を短縮できる。
誰しも、複利のせいで損をするのではなく、プラスの恩恵を受けたいはずだ。投資すれば利息を得ることで資産が増え、利子もまた増える。しかし、高金利債務の場合は、その真逆だ。
◆貯蓄
予期せぬ出費が発生した場合でも、投資金から賄わなくても済むよう、臨時出費用の預金を準備しておこう。
◆リサーチ
投資へのアプローチ法や最善の運用法をしっかり調べよう。また、ライフプランなど、将来的に必要なお金を把握しておこう。5年以内に使うことがわかっている費用は、高金利の普通預金や定期預金に入れておこう。収益率はそれほど高くはないが、市場が低迷しているタイミングに投資金を引き出す損失リスクを回避することができる。
◆基本的な投資から始めよう
「投資を始めるのに最も手軽なのが、退職金制度でしょう」とウェルカー氏は言う。
退職前の数十年を有効活用しよう。長期間にわたって収入の10%から15%を退職金口座に投資すれば、複利と市価利益で非常に大きな貯えを生み出すだろう。
◆アメリカの一般的な確定拠出型年金2選
401(k):多くの雇用主が採用している制度。掛け金は給与天引きで、直接積立口座に入金される。退職後、給付額が当初決定した金額に満たない場合、その分は雇用主が負担してくれる。
トラディッショナルIRA・ロスIRA:個人型の退職年金で、投資オプションは自由に選べる。トラディッショナルIRAとロスIRAの違いは、税制優遇措置の違い。トラディッショナルの場合は積み立てた分の所得控除が受けられるが、ロスは退職後の引き出し時に無課税となる。
◆次の投資ステップへ
余った小銭で投資をするのも、本格的に株のリサーチと取引を行うのも良いが、いずれにしても自分なりのゴールを設定し、その到達方法までをしっかり描いておこう。
アリゾナ州スコッツデールの公認ファイナンシャルプランナーであるヘザー・タウンゼント氏は「投資するなら、考えをしっかり固めておくこと。まずは、投資して何を得たいか、を整理しておきましょう。投資したいのであれば、市場には大きなアップダウンがあると知っておかなければなりません。リターンのためにリスクを背負う覚悟はありますか?」と話す。
◆主な投資方法は2つ。DIYまたはポートフォリオ管理サービスの利用
DIY:DIY(Do-it-yourself)投資にはさまざまな形があるが、一般的はインターネット証券と株取引アプリが主流だ。ネット証券の場合、ポートフォリオをオンラインで管理するため、より実践的なアプローチが必要だが、株取引アプリならほとんどの作業をお任せでやってくれる。
エイコーンズ(Acorns)のように少額投資向けのアプリは色々あるが、大きな儲けは期待しない方がいい。ウェルカー氏は「まだ初心者の方で、アカウントを作って投資を楽しみたいのであれば、アプリで十分です。しかし、より本腰を入れるなら、投資先のポートフォリオを自分で探しましょう」と話す。
◆ロボアドバイザーによる全自動運用サービス
ロボアドバイザー形式が主流の自動ポートフォリオ運用サービスでは、アルゴリズムを活用して投資ポートフォリオを構築、管理する。投資スケジュールやリスク許容度などのパラメータを設定すれば、通常その後の工程はロボアドバイザーがすべて引き受けてくれる。面倒な作業を自分で行わなくてもよいため、投資の初心者には手軽なツールだ。
このコラムは、金融情報サイト『NerdWallet(ナードウォレット)』がAP通信に寄稿した。
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By SEAN PYLES NerdWallet
Translated by isshi via Conyac