アップルとネットフリックスが対決 なぜ巨人同士の戦いが起きているのか?

AP Photo / Tony Avelar

 動画ストリーミングサービスに参入しようというアップルの意欲は、新たなトレンドの高まりを象徴している。世界有数のハイテク企業は、いずれも右肩上がりの成長曲線に陰りが見えており、互いの縄張りに踏み込みつつある。

 アップルは、独自のコンテンツを擁した定額制の動画配信サービスを開始し、ネットフリックスに戦いを挑んでいる。フェイスブックは、ユーザーがインスタグラム内で物品を購入できる仕組みを作り、アマゾンの牙城である電子商取引の分野に進出している。グーグルは、既にクラウドコンピューティングの分野でアマゾンとマイクロソフトに挑んでおり、さらに、マイクロソフトとソニーが大きな収益を得ているオンラインゲームサービス分野に新たな名乗りを上げている。

 アップルもまた、ゲームサービスや自社ブランドのクレジットカードの導入を開始しており、同社の盤石であった従来のビジネスモデルから、これまでで最も大きく方向転換を図ろうとしているとハイテク業界アナリストであるロブ・エンダール氏は言う。

                                                                                                                 

「幅広い分野で著名というわけではない企業にとっては、これは途方もなく多方面への進出だ。今回の動きは、アップルにとって、史上最大の事業の多様化である。かつて、アップルの製品群があまりにも多岐にわたるようになった時、スティーブ・ジョブズ氏がアップルで実施したことは、会社の進む方向を一点集中に定めたことだった」とエンダール氏は語る。

 しかし、当時と現在では時代や状況が異なる。アップルは、自社の主力製品であるiPhoneの売り上げが鈍化する最中、選択の余地はあまりないと判断したのかもしれない。

 イギリスを拠点とする技術コンサルタント会社、ウォーターストンズのサリー・エドガー氏は、「ある意味、アップルはデバイス市場を枯渇させてしまった。企業は、ますます定額購読サービスに関心を抱くようになるだろう。生き残りをかけた待ったなしの動きとなるはずだ」と語る。

 企業収益に大きな影響を及ぼすホリデーシーズンと重なる2018年最終3ヶ月間のアップルの財務報告では、深刻なiPhoneの販売不振が明らかになった。前年比15%の収益減である。

 言うまでもなく、ハイテク企業は、長年にわたって新たな市場を開拓し、互いの牙城を崩し合う戦いを繰り広げてきた。

 フェイスブックとグーグルは、デジタル広告を巡って激しい攻防を展開してきたが、いずれも収益獲得の鈍化が見込まれており、代替となるビジネスモデルを模索している。今月、フェイスブックの最高経営責任者、マーク・ザッカーバーグ氏が発信したメモには、広告に依存するビジネスモデルからプライベートメッセージングや他のサービスに軸足を移すことを促す兆候がみられた。

 その一方で、グーグルとアマゾンは、各家庭において音声アシスタントの覇権を巡って競争を繰り広げている。グーグルとマイクロソフトは、検索エンジンの分野で互いに競合している。そして、アップルとグーグルは、およそ10年もの間、スマートフォンの壮大なシェア争いを展開している。

 しかし、長年、ハイテク業界のアナリストを務めるティム・バジャリン氏は、企業が意欲的に動画ストリーミングサービスや他のビジネスに参入する最近の動向の裏には、新たな喫緊の重要性があると見ている。消費者にとって、新しいiPhoneや他のハードウエアを購入するのは大きな投資となるが、企業にとってはその利益はあくまで瞬間的なものだ。しかし、動画ストリーミングサービスや他のビジネスにおいては、継続的な収益の獲得を見込むことができる。

「企業が成長し続ける唯一の方法は、継続的な収益モデルの事業への追加であることが明確になりつつある。アップルは、コンテンツの収集者になろうとしている。純利益を伸長するのに役立つと見込まれる様々なサービスを提供し始めたのだ」とバジャリン氏は述べている。

 3月25日、アップルはカリフォルニア州クパチーノにある本社で動画ストリーミングサービスの開始を発表したが、エンダール氏によると、その詳細は未定であり、まだ「ハネムーン期」にあるという。アップルは、オプラ・ウィンフリー氏やスティーブン・スピルバーグ氏ら豪華な顔ぶれが揃った新たなエンターテインメントのパートナーや、「シムシティ」および「ファイナルファンタジー」シリーズのクリエイターたちが名を連ねる動画ゲームのパートナーを公表した。だが、次に起きることについては、アップルも手を焼くことになるかもしれない。

「最初のうちは華々しく、素敵に見える。だがしかし、目論見通りに遂行しなければならない」とエンダール氏は語る。

By MATT O’BRIEN AP Technology Writer
Translated by ka28310 via Conyac

Text by AP

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