大手自動車メーカーが続々参戦、フォーミュラE シーズン5がいよいよスタート
◆フォーミュラEに集まる資金
これまでもモータースポーツ業界は、その莫大な資金と優秀なエンジニアによって数々の新しい技術を生み出し、そのいくつかを大衆市場向けの市販車に転用してきたが、これだけの数の世界的自動車メーカーがフォーミュラEに参戦するということになると、今後その舞台の中心がフォーミュラEに移り、EV技術に大きな変革をもたらすことになるかもしれない。
かつて、フォーミュラEのシーズン1開幕前、F1のトップドライバーであるセバスチャン・ベッテルは、フォーミュラEを「チーズ(“くだらないもの”の意)」と呼びこきおろしていたが、昨今の環境問題への意識の高まりから来る電気自動車への期待とその市販車へのフィードバックという大義名分を持つフォーミュラEの成長は今後益々力強いものになっていくだろう。2016-2017年のシーズン3と2017-2018年のシーズン4の比較では、1レースあたりのビューワー数が+45.6%だったという試算もある(フォーブス誌)。
◆レースとしての魅力はこれから?
レースとしての魅力に欠けるという声は、ベッテルに限らず昔から囁かれてはいた。だがここに来て、フォーミュラEをつまらないものにしていたいくつかの要因は取り除かれつつある。代表的なものは、シーズン4までドライバー1人あたり2台のマシンを使用し、レース中にピットで乗り換えなければならなかったことだろう。
フォーミュラEでは過度な開発競争による開発コストの高騰を抑制する目的で、バッテリーの開発を認めておらず、全車両が共通のバッテリーを使用する。シーズン4まではそのバッテリーの電力量に限度があり、レースの途中でマシンを乗り換える必要があったのだ。これがレースの魅力を損なっているとの声も聞かれたが、シーズン5からはバッテリーの電力量がおよそ倍に拡大され、1台のマシンで完走する事が求められるため、レースとしての魅力が増すことは確実だ。