ピンタレストの独自戦略は功を奏するのか? SNSの欠点を避け、緩やかに成長

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 しかし、ピンタレストが満を持してユーザーに向けた「共有の販売」機能を開始するとなれば、潜在的な投資家たちは、この機能がどのくらいの金額を生み出し、どのくらい成長しそうなのかを見極めようとするだろう。収益の増加に向けたさらなる一歩として、10月16日、ピンタレストは、ユーザーが見つけた好みの写真や気になるイラストをお気に入りに保存登録できる「ピン」機能を増やし、「購入可能」ピン機能を実装すると発表した。

 創立8年目のピンタレストは、あえて急成長の道を辿ろうとしない理念を掲げている。これは、フェイスブックが唱える「素早く行動し、破壊せよ」というモットーとは対照的だ。しかし、ピンタレストが単なるニッチなサービスであるという位置付けよりもむしろこの緩やかな成長戦略がどれほど周到に用意されたものなのかを判断することは難しい。

 調査会社であるイー・マーケターのアナリスト、アンドリュー・リップスマン氏は、「ゆっくりと確実な成長戦略が勝利を収めることがある」と語る。急成長を遂げたソーシャルメディア企業が長年犯してきた過ちを考慮し、リップスマン氏は、「因習的なシリコンバレーの考え方から脱却すれば、実際、緩慢な成長戦略には思いがけない利点があるのかもしれない」と述べた。

 ピンタレストが主眼に置く目標は、発見と着想だ。結婚、第一子の誕生、または初めての一人暮らしなど人生の大きな転機に始まり、ファッションや食事のメニューなど日常的なことに至るまで、ユーザーは自分の気に入ったあらゆるものを集め、未来の自分を創造する可視的な一助とする。また、ピンタレストが提供する画像検索では、ユーザーが実際の暮らしの中で撮影した画像に関連した写真やイラストを見つけることができる。

 ピンタレストは2010年にエバン・シャープ氏とベン・シルバーマン氏によって設立された。同社は、サービスの開始時点から他と一線を画していた。サンフランシスコを拠点とするピンタレストのサービスは、若者、シリコンバレー関係者や事情通のオタクたちよりむしろアメリカ中西部や中部の女性たちを魅了した。

 その当時でさえ、「最高の人生を思い描いて可視化する」場所としてピンタレストが提供したある種のデジタルなボードは、オプラ・マガジン誌(訳注:アメリカの人気司会者オプラ・ウィンフリーをアイコンとした女性の生き方を指南する雑誌)が提唱するコルク製ドリームボードを思い起こさせるものだった。そのビジネス戦略は、このボードを単に眺めるだけ以上の場にしようとするものだ。ユーザーが買いそうなもの、作りそうなもの、および、企業が潜在的な顧客に紹介したい商品の数々が、このボードに広告の形で表示されるようになる。

Text by AP