ユーチューブ、フェイスブックなど各社、陰謀論者を追放 ツイッターは独自の対応
ソーシャルメディア各社がついに行動を起こした。フェイスブック(Facebook)、アップル(Apple)、ユーチューブ(YouTube)、スポティファイ(Spotify)など各社が、これまで信じられないような内容の陰謀論を次々と流布してきたトランプ氏支持の極右派アレックス・ジョーンズ氏のアカウント利用を禁止したのである。
◆極右陰謀論者がソーシャルメディアに禁止処分を受けた理由
ジョーンズ氏はこれまで、ソーシャルメディアを駆使し、コネチカット州のサンディフック小学校で発生した銃乱射事件の被害者が銃規制を厳しくするための俳優であるなどの「陰謀論」、言い換えれば「嘘」を、一部のナイーブな人々(主に共和党およびトランプ大統領支持者)を標的にして流布してきた。サンディフックの一件では、被害者の親に名誉棄損で訴訟を起こされている。
そんなジョーンズ氏をネット上から追放しようとする左派活動家の動きが活発化した。米情報サイト『Salon』の8月8日付記事によると、ジョーンズ氏が明らかに使用規定に反しているにもかかわらず、これらのソーシャルメディアプラットフォームの利用を許されているばかりでなく、スポティファイに至っては積極的に宣伝していたことを疑問視する声が左派活動家の間で大きくなり、ソーシャルメディア各社のボイコット運動に発展しそうな勢いになったという。
少なくとも表面上ではリベラル寄りである場合が多いソーシャルメディア各社が、注目を集めるユーザーだからと言って、ジョーンズ氏を好き放題させておくのは矛盾していることに気づいたのかもしれない。
バラエティ誌(電子版)によると、まずジョーンズ氏のアカウント禁止に乗り出したのはフェイスブック、アップル、そしてスポティファイで、その後ユーチューブが続いたという。
同記事によると、ユーチューブはジョーンズ氏がトランスジェンダーやイスラム教徒に向けたヘイトスピーチを行ったことから「コミュニティ・スタンダードを破った」として禁止に動いたものの、他社が禁止するまでは半ば放置状態だったようだ。ジョーンズ氏が最も重要視するプラットフォームであったというユーチューブの利用禁止措置は、同氏にとってかなりの大きな痛手であったことは想像に難くない。
◆他社に比べて極右派の意見にも寛容なツイッター
ここで、ジョーンズ氏の利用を禁止しなかったメジャーなプラットフォームが1つあることに気づくはずだ。そう、それはツイッター(Twitter)である。
NBCニュースの8月8日付記事によると、同社のCEOジャック・ドーシー氏は、ツイッターがジョーンズ氏禁止に動いていない理由を「彼は我が社のルールを破っていないから」と説明している。またドーシー氏はジョーンズ氏について、「他のユーザーと同じスタンダードで判断する」と述べ、良くも悪くもジョーンズ氏を特別扱いしないことを明言した。
しかし、バラエティ誌(電子版)の15日付記事によると、そのわずか約1週間後の14日、ジョーンズ氏が14日に投稿したビデオの内容が原因で、ツイッターはついに同氏を1週間のアカウント利用禁止処分とした。同記事によると、ジョーンズ氏はビデオで、「敵(左派)」に対する暴力を呼びかけているとも取れる発言をし、トランプ大統領に対しソーシャルメディアによる「検閲」について行動を起こすよう促したという。
左派系サイト『ThinkProgress』の13日付記事によると、ジョーンズ氏はその後動画サイトVimeo(ヴィメオ)にビデオを投稿したものの、すぐに利用を禁止された。同社は「このような内容の投稿から、どんな方法によっても利益を上げたくない」と明言したという。
トランプ大統領のお気に入りソーシャルメディアであるツイッターは、他のソーシャルメディアに比べ様々な意見を寛容に受け入れてきた。しかし他のソーシャルメディアが思い切った行動に出たなかで、トランプ氏と強いつながりを持つジョーンズ氏の今後の処遇について、ツイッターは頭を悩ませているようである。