「メッシ、ネイマールの1ゴールにつき1万食寄付」のマスターカードに批判殺到

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 マスターカードは5月31日、有名サッカー選手のメッシとネイマールがゴールを決めるたび、飢えに苦しむ子供たちに1万食を提供できる額の寄付を行うと発表した。選手のゴールを寄付の条件とする点に関し、ツイッターで「不快」だと批判が起きている。

◆慈善事業になぜ批判? 「売名」との声も
 マスターカードは、メッシとネイマールが1回ゴールを決めるたび、ラテンアメリカ・カリブ海地域の子供たちのために1万食相当の金額を国連世界食糧計画(WFP)に寄付すると発表した。2018年5月31日から2020年3月までに行われる試合が対象となる。

 マスターカードは発表をツイッターにも投稿したが、これに多くの批判が寄せられた。ツイッターでは、寄付をする資金があるのなら、選手がゴールを決めるかどうかにかかわりなく寄付をすべきだという声が相次いだ。あるユーザーは、「飢えに苦しむ子供たちの運命を億万長者のサッカー選手に委ねないで」とコメントしている。

 マスターカードがツイッターでの拡散を狙っていることも批判を加速させている。マスターカードは、選手のゴールでの寄付に加えて、#TogetherWeAre10というハッシュタグが使われるたびに1食分に相当する金額をWFPに寄付するとして、拡散を推奨している。しかし、ゴールを決めるたびに寄付を行うという方法に不快感を覚えたユーザーからは「最悪のPR」、「売名行為」といった反発を受けた。

◆選手への影響に懸念、ブラジル代表監督も苦言
 選手にゴールを決めなければというプレッシャーがかかるのではないかとの懸念の声も上がっている。この懸念に関し、ネイマール選手の母国ブラジルの代表監督であるチッチ氏は、寄付はいいことだとした上で、チームとして動いていることから「少しフラストレーションを感じるかもしれない」と話した(AP通信)。

 また、ゴールが決まるのを阻止したゴールキーパーが悪者になるのかという意見も出ている。サッカーファンにとっては、試合に外部の要素を持ち込んでほしくないという気持ちもあるのだろう。

◆マスターカードは反論、選手自身も賛同
 マスターカードは批判を受け、ラテンアメリカ・カリブ海地域で行われる今回のキャンペーンは、必要としている人に1億食を届けるという世界規模の取り組みの「わずかな部分」だと反論。マスターカードは、民間では最大のWFPの支援者だと主張した。

 選手自身も、マスターカードのプレスリリースにこのキャンペーンを応援するコメントを寄せている。アルゼンチン出身のメッシ選手は、「私の国や世界のその他の地域において、多くの子供たちの生活を変えるこのキャンペーンに参加することを誇りに思う」と述べた。一方ネイマール選手は、「支援ができることをうれしく思う」とコメントした。

 批判にもかかわらず、今のところキャンペーンの中止は発表されていない。マスターカードにとっても選手にとっても、今回の批判は寝耳に水の事態だったに違いない。

Text by 後藤万里