フェイスブック情報流出:ケンブリッジ・アナリティカが破産しても捜査は継続

AP Photo/Mark Lennihan

 Facebookの個人情報流出スキャンダルの渦中にいる、政治コンサルタント企業のケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)が全面的な事業停止を決めた。しかし、だからといって企業の背後にいる人々が、捜査の手を逃れられるわけではない。

 当局が大量の個人データ不正使用捜査を続ける中で、イギリスとアメリカでの破産申請がどのような影響を与えるのか検証していく。

                                                                                                                 

◆そもそもの始まりは?
 Facebookは、8700万ものFacebookアカウントから個人情報を不正入手し、それをドナルド・トランプ氏の大統領選挙キャンペーンに利用した疑いがあるとして、ケンブリッジ・アナリティカのアカウントを停止した。ケンブリッジ・アナリティカはそのデータを別会社から購入したと話しており、契約条件としてデータ保護規則の順守があったことから、Facebookのデータがトランプ氏のキャンペーンで利用されたことなど皆無だと主張している。

 今回のスキャンダルにより、Facebookの株価は急落した。「広告に利用可能なデータと引き替えに無料サービスを提供する」というSNSのビジネスモデルを脅かす恐れが生じたためだ。一時は、Facebook株の売りが進んだことから、同社の市場価値は500億ドルも下落した。

◆ケンブリッジ・アナリティカの主張は?
 同社は今回の捜査を受けて、CEOのアレクサンダー・ニックス氏を停職処分とした。先週、同社は疑惑について「ボンド映画のような悪人ではない」といい、ニックス氏が選挙戦に勝つためにハニートラップやフェイクニュースといった不正戦術をはたらいたという証拠動画も含め、すべて不確かな告発による中傷だと批判した。

 また、ケンブリッジ・アナリティカは外部から弁護士を招き、疑惑の調査を依頼している。5月2日に出された調査結果の内容は、内部告発者であるクリストファー・ワイリー氏の主張と矛盾するものであり、同社への彼の関与は「非常に控えめ」だったと説明している。

◆今後の展望は?
 イギリスの個人情報保護機関であるICOは、選挙キャンペーンのみならず全般的な個人情報不正使用の捜査の一環として、ケンブリッジ・アナリティカとその親会社であるSCLグループへの調査を続けている。他にも、30社ほどの企業が調査対象となっている。ICOは5月3日、「今後も民事および刑事事件として捜査を継続し、企業が廃業したとしても、個人や幹部を必要に応じて、適切に追及していく」と発表している。

 さらに、ICOは「後継企業についても厳重に監視していく」と約束している。つまり、ケンブリッジ・アナリティカの背後にいる人々が、新名義の企業を組織したからといって、捜査を逃れられることはない、ということだ。

 イギリスの企業記録によると、ニックス氏は2017年8月に設立されたエメルデータ(Emerdata Ltd.)という企業でも取締役を務めているという。エメルデータの重役には他にも複数のケンブリッジ・アナリティカ関係者が名を連ねている。ニューヨークタイムズの報道によると、ケンブリッジ・アナリティカおよびSCLグループの関係者が、エメルデータを使ってケンブリッジ・アナリティカのデータや知的財産を買収することで、同社のブランド再生を図る可能性があるという。ケンブリッジ・アナリティカが予定通り、ニューヨークで破産保護申請を行えば、さらに詳細が明らかになるだろう。

 イギリス議会メディア委員会の議長を務めるダミアン・コリンズ氏はスカイニュースに対し、ケンブリッジ・アナリティカがブランド再生を図る可能性は認識していた、と話した。

◆破綻により捜査は打ち切られる?
 イギリス当局は「そんなことはあり得ない」と述べている。コリンズ氏はスカイニュースに対し、ケンブリッジ・アナリティカを廃業すれば、調査の根源となったデータを消去できると考えているのであれば、同社の上層部は「ひどく驚嘆することになる」と語っている。

 さらに、Facebookもまた「何が起きたのか、を正確に理解し、再発防止に努める」ため、答えを探し続けると述べている。

 既知の捜査に関して、個人および企業は証拠保全する必要があり、アメリカでは記録や書類を意図的に破棄することは連邦破産法第11章に違反する「犯罪」である。

 今回の事業閉鎖が、親会社のSCLグループに直接的な影響を与えることはないため、破産事由に関する証拠を処分することは、さらに困難になるだろう。5月2日のニュースリリースでは、破産保護申請の対象は親会社ではなく、ケンブリッジ・アナリティカとSCLエレクションのみとなっている。

◆Facebookは窮地を脱したのか?
 そんなことはまったくない。

 創業者のマーク・ザッカーバーグ氏は先月、アメリカ議会で大統領選挙でのデータ不正使用に関する証言を行った。彼は、データ規制をさらに厳格にしなければならない、という点については認めたものの、それ以外には特に大きな痛手を負わず証言を終えた。彼の証言後、Facebookの株価は上昇した。

 イギリスおよびEUの議会もまた、ザッカーバーグ氏を公式に喚問したいと希望しているが、今のところ同氏はこれを拒否している。今週、コリンズ氏は同社のマイク・シュレーファーCTO(最高技術責任者)が先週「完全に」回答しきれなかった40の質問に対して、明らかにする必要があると主張している。

 さらに、コリンズ氏は上級幹部が召喚を拒否するというのは過去に前例がなく、電話盗聴疑惑のあったジェームズ・マードック氏とルパート・マードック氏でさえも捜査期間中に議会に姿を現した、と付け加えている。

一方、米連邦取引委員会(FTC)もまたFacebookの調査を継続している。

編注:この記事は5月4日にAP通信によって公開された。

By Associated Press
Translated by isshi via Conyac

Text by AP

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